ロボットを活用した治療や手術の開発・実用化が近年進んでいるが、米国のパデュー大学はこのほど腸内の特定の患部に直接薬を届ける極小ロボットを開発し、動物実験で有効性を確認したと発表した。
体の外からマグネットを使ってロボットを後ろ宙返りさせながら誘導し、目的のポイントで薬を放出させることができる。
流れに逆らって移動
そもそも、なぜ腸内の患部に直に薬を届けようと試みているかというと、たとえば経口薬だと体の別部分に副作用を起こすことがあるからだ。胃が荒れたり、髪が抜けたりといった影響を抑えられる。
パデュー大学の研究チームが開発したロボットは米粒よりも小さく、バッテリーも搭載していない。体外からマグネットを使うことで誘導できるようになっているのだという。
ユニークなのがロボットの動きだ。基本的に腸の中は液体や物体が一方方向で流れている。そうした流れに逆らって移動するために、ロボットはフリップ(後ろ宙返り)を繰り返す。
患部に直接薬投与
そしてターゲット箇所に誘導したら、ポリマーでロボットにコーティングして搭載している薬をリリースする。患部に直接薬を浴びせるわけだ。コーティングのおかげでたどり着く前に薬が溶け出すことはないのだという。
研究チームはすでにこのロボットを生きているマウスに麻酔をかけた状態で試し、うまく作動することを超音波で確認した。人間のものと似ているブタの腸内でも回転しながら移動できたとしている。
今回は薬の運搬屋としてこの極小ロボットを活用しているが、将来的には細胞を採取するなど検査にも役立てることを視野に入れているという。
(文・Mizoguchi)
- Original:https://techable.jp/archives/139912
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:mizoguchi
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