600個以上焼いてわかったおうちたこ焼き器の焼き方・選び方とは?

ちょっとした軽食からホームパーティーまで、今や関西地方だけでなく日本全国で人気の定番メニューになったのがたこ焼きだ。その追い風を受けてか、家電量販店には驚くほどの数のたこ焼き器たちが並んでいる。価格は数千円台から1万円を超えるものまで千差万別。今回はそれらのたこ焼き器からリーズナブルで人気のモデル8機種をセレクト、実際に600個以上ものたこ焼きを焼いてみた。使い勝手や焼きやすさなどを独自検証する。

今回筆者が選んだのは、主に1万円以下で購入できるリーズナブルなモデル。いずれも主要な家電量販店でベスト10に入っているような製品だ。それに加えて、ガスで焼ける製品も用意した。

まずは、たこ焼き器の選び方を解説したい。最初に決めるポイントが、たこ焼き専用機とホットプレート併用タイプのどちらにするか。低価格の専用機タイプは、プレートが着脱できないことが多い。この一体型タイプは使用後にプレートだけを洗うことができないのが欠点だが、ヒーターとプレートが固定されているので熱が伝わり安く、低消費電力でもしっかり焼けるのがメリットだ。

一方、ホットプレート併用タイプはプレートを取り替えることで、たこ焼き以外の調理ができる。ただし、製品や個体によってはヒーターとの密着が悪くて熱が伝わらず、焼くのに時間がかかることもある。その場合、大人数でたこ焼きを楽しむ時などに、かなりの待ち時間が発生してしまうこともあるので注意したい。

さらに、あると便利なのがプレートの「串ガイド」だ。穴の外にたまった生地や具材を適量ごとに分けることができる。さらにプレートの縁が高いとそれだけ多くの素を流せるので、たこ焼きを大きく丸くしやすい。また、たこ焼きの穴の大きさにも違いがあり、回しやすさや入れられる具材の量が変わって来るのでこだわり派は要チェックだ。


今回検証に際し、たこ焼きの生地はオリジナルで統一した。たこ焼きの生地は粉が多いと焼きやすくなるが食感が重くもったりする。このため、出来る限り緩めにするのがポイント。中とろ、外カリの食感にできるが火力が低いと焼きにくい。使用するたこ焼き器の火力にあわせて比率を調整するといいだろう。 たこ焼き器に付属するレシピは小麦粉と水の比率1:3ぐらいが多く、もったりしているので、今回はお店のたこ焼きに近い、約1:4.7のたこ焼きの生地を用意した。

2000円以下から買える「たこ焼き器」で焼いて実食

Model #01

NEOVE
NWT-1865A
実勢価格:1928円

火力と焼ける速さ ★★★
生地の焼きやすさ ★★
一度に焼ける個数 ★★★
リーズナブルな価格 ★★★★★

直径約39mmのたこ焼きが18個作れるたこ焼き器。プレートの取り外しはできない専用タイプ。消費電力は650Wと控えめ。プレートには2層コーティングが施されており、こびりつきにくいのがポイント。使っていないときは縦置収納ができる様になっている。本体サイズは幅275×奥行き225×高さ80mm、質量約0.8kg。

たこ焼きの素、タコ、天かすなどを流し込んだところ。しっかり予熱しておくと火の入りもいい。縁が低いので生地がこぼれないようにしたい。
たこ焼きの完成。串ガイドがないため、生地を穴に流し込むのにすこし手間取ったがきれいに丸められた。

 

Model #02
YAMAZEN
たこ焼き器 YOA-240
実勢価格:1980円

火力と焼ける速さ ★★
生地の焼きやすさ ★★★
一度に焼ける個数 ★★★★★
リーズナブルな価格 ★★★★★
直径約43mmの大きめのたこ焼きが24個焼けるたこ焼き器。着脱式のたこ焼きプレートを採用しており、プレートだけで洗うことができる。ただし、フラットプレートなどは付属しないたこ焼き専用機だ。プレートにはフッ素樹脂加工が施されており、串ガイドがあるので焼きやすい。本体サイズは幅365×奥行き245×高さ72mm、重量1.45kg。消費電力は800W。

プレートは着脱可能で、隙間にもれた生地なども拭き取れる。本体中央にU字ヒーターを配置する一般的な構造だ。
出来上がったたこ焼き。串ガイドがあるため生地が分けやすく丸めやすい。ただし、4隅が焼けにくく、その部分を焼いているうちに中央部分がやや焦げ気味になった。適度に場所を動かすと良さそうだ。

Model #03
アイリスオーヤマ
たこ焼き2WAYプレート ITY-20WA
実勢価格:2980円

火力と焼ける速さ ★★
生地の焼きやすさ ★★★
一度に焼ける個数 ★★★★
リーズナブルな価格 ★★★★
直径40mmのたこ焼きが20個焼けるたこ焼き器。ヒーターの熱が伝わりにくい4隅をあえてカットしてあるため、均一に焼ける。プレートは着脱式で焼き肉などができるフラットプレートも付属する。消費電力は800Wで本体サイズは幅345×奥行き230×高さ75mm、質量約1.3kg(たこ焼きプレート時)。

付属のたこ焼きプレートとフラットプレート。本体側はU字ヒーターを配置するシンプルな作り。プレートのガタツキがやや気になった。
熱量はかなり低めなのでゆっくりと焼く必要があった。ただ、もともと4隅に穴がないため、全体の焼けるスピードにあまりムラはない。たこ焼きの素はやや小麦粉が多めの方が焼きやすそうだ。

Model #04
ライソン
ギガたこ焼き器 KDTK-001R
実勢価格:2500円

火力と焼ける速さ ★★★
生地の焼きやすさ ★★★
一度に焼ける個数 ★★
リーズナブルな価格 ★★★★
直径10cmの超ビッグサイズたこ焼きが作れるちょっと変わったたこ焼き器。同時に直径40mmの通常サイズのたこ焼きも5つ作れる。プレートはフッ素樹脂加工が施されており、固定式となっている。消費電力は700W。本体サイズは幅250×奥行き135×80mm、質量800g。

十分な火力があり、通常サイズのたこ焼きはスムーズに焼ける。ただし、一度に作れるのが5つと少ないので、パーティには不向き。ギガたこ焼きは返すのにかなりの慣れが必要。
炊きあがったギガたこ焼き。さらに1つ焼けるのに20分近い時間がかかった。ボリューム感は満点だ。キャベツなど具材を多めに入れるのが良さそうだ。

Model #05
アピックス
たこ焼きメーカー 24個対応 ATM-024
実勢価格:3490円

火力と焼ける速さ ★★
生地の焼きやすさ ★★★
一度に焼ける個数 ★★★★★
リーズナブルな価格 ★★★★

大阪日本橋にある「浪速・たこ丸」の秘伝レシピブックが付属するたこ焼き器。直径40mm、24穴のたこ焼きプレートと、フラットプレートが付属し、使い分けることが可能。たこ焼きプレートには串ガイドもついているので、穴からあふれた生地を分けやすい。落ち着いたカラーも個性的。消費電力は800Wで本体サイズは幅349×奥行き224×高さ75mm、質量は約1.2kg。

付属の2枚のプレートと本体内部。ヒーター周りなどは非常にシンプルなしくみ。
プレート分離型ということもあり、たこ焼きの焼き上がりは遅め。じっくり時間をかけてやる必要があった。反面、焦げにくいのでゆっくり焼きたい場合やたこ焼き初心者に向く。

Model #06
パール金属
たこパー日和II 電気式たこ焼き器18穴 D-6544
実勢価格:1712円

火力と焼ける速さ ★★★
生地の焼きやすさ ★★
一度に焼ける個数 ★★★
リーズナブルな価格 ★★★★★
実測40mmのたこ焼きが18個焼ける小型たこ焼き器。穴は円形のプレートに合わせて丸くレイアウトしており、本体前面に電源スイッチを配置している。プレートはこびりつきを防ぐためにフッ素樹脂膜加工が施されている。消費電力は650Wで、本体サイズは幅280×奥行285×高さ70mm、質量900g。

3分予熱してたこ焼きの素と具材を流し込んだところ。火の入りもよく、また、こびりつきにくいため、返しやすかった。ただし、縁が低いため生地が漏れやすい。
炊きあがったたこ焼き。非常に綺麗に丸く焼き上げられた。コスパは非常に高いと言える。

Model #07
BRUNO
コンパクトホットプレート
実勢価格:9680円

火力と焼ける速さ ★★★★
生地の焼きやすさ ★★★★
一度に焼ける個数 ★★★★★
リーズナブルな価格 ★★★
多彩なボディカラー、デザインを用意する小型ホットプレートの大ヒットモデル。標準でフラットプレートと直径4.3mm、24穴のたこ焼きプレートが付属する。たこ焼きプレートにはガイド線も入っており使いやすい。消費電力最大1200Wで、最大250℃の高温で加熱できるのがポイント。今回試したモデルの中では唯一マグネット式のコンセントを採用している。本体サイズ:幅375mm×奥行き235mm×高さ140mm、質量2.3kg。

付属のたこ焼きプレート、フラットプレートと本体。本体にはプレートが付いていないときのヒーター加熱を止める安全装置も装備。マグネット式の電源コードを含め、安全性が高い。
消費電力が1200Wということもあり、電気式のたこ焼き器では最も早くたこ焼きが焼けた。また、4隅だけ焼けないといったムラがないのも好印象だ。ただし、楽しい火力が高い分、素早く返していかないと焦げてしまう点には注意。

Model #08
イワタニ
スーパー炎たこ CB-ETK-1
実勢価格:5500円

火力と焼ける速さ ★★★★★
生地の焼きやすさ ★★★★★
一度に焼ける個数 ★★★★
リーズナブルな価格 ★★★★
専用のたこ焼きプレートが付属するカセットコンロ。アルミダイキャストのプレートは直径40mmの穴を20個配置しており、ガス火の高火力で素早くたこ焼きを焼き上げられる。プレートはフッ素加工が施されており、切り溝(串ガイド)付きで大玉たこ焼きが焼ける。なお、プレートは着脱式だが、付属のたこ焼きプレート以外は使えない仕組み。本体サイズ:幅348×奥行き231×高さ133mm、質量約2.2kg。

プレート全体をしっかりと加熱できる大型のU字バーナーを配置し、直火しっかりとたこ焼きプレートを加熱できる。
プレートの蓄熱性も高く、電気たこ焼き器とは比較にならない速さで焼ける。表面が素早く焼けるため、中トロ、外カリのたこ焼きが楽しめる。反面、たこ焼きを焼く技術も求められるので、中上級者向きの印象だ。

<番外編>

Model #09
和田厨房道具
たこ焼き器18穴 鉄鋳物 1連 tk002-1
実勢価格:8745円

火力と焼ける速さ ★★★★★
生地の焼きやすさ ★★★★★
一度に焼ける個数 ★★★
リーズナブルな価格 ★★★
都市ガス用プロパンガス用が用意されている業務用のたこ焼き器。業務用ではあるが一般家庭でも利用可能。直径45mmの大玉たこ焼きが18個焼ける。蓄熱性の高い鋳鉄製のプレートを採用しており、素早くたこ焼きが焼ける。本体サイズは幅195×奥行き350(前管の出幅110)×高さ190mm。

圧倒的火力、蓄熱により、ハイペースでお店レベルのたこ焼きが量産できた。生地を流し込んでもほとんど温度が下がらないので、大玉たこ焼きが素早く焼ける。大人数のタコパでも対応可能だ。

600個以上のたこ焼きを焼いてわかった使い方別たこ焼き器ベストバイ

今回全部で9台のたこ焼き器を用意し、実際に焼きまくってみた。1台あたり20個平均で、各モデル3回以上焼いているので、540個、おそらく600個以上のたこ焼きを焼いた。

純粋にお店クオリティのたこ焼きを家で焼きたいなら、イワタニの『スーパー炎たこ』がおすすめだ。ガスの火力による高い熱量で、カリふわたこ焼きが焼ける。ただし、火力が高い分、焦げやすさもあるため、初心者には不向き。それに何度もたこ焼きをやったことがある人の買い替えにおすすめだ。


初めてたこ焼きを焼くという場合、パール金属の『たこパー日和II』やNEOVE『NWT-1865A』など、低価格でプレートが一体化したモデルをおすすめしたい。2000円以下から買えるコストパフォーマンスの高さが魅力。焦らずにゆっくり焼くことで、手軽におうちたこ焼きが楽しめる。

プレートが取り外しできるたこ焼き器の中ではBRUNOの『コンパクトホットプレート』がおすすめ。電気タイプの中では最も火力が強く、素早く焼ける。また、温度調節もできるので初心者でも安心だ。

ただし、上記のようにたこ焼き器の違いをまとめたが、焼き手のスキルと生地次第で焼き上がりはかなり変わってくる。まずは安いたこ焼き器を買ってたこ焼きスキルを磨くのも手といえそうだ。

なお、山のように焼いたたこ焼きは、家族で頑張って食べたのだが、未だに一部冷凍庫に眠っている。しばらくの間、我が家の食卓にたこ焼きが並びそうだ。


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