App Storeに導入された、アプリが収集するユーザーデータの詳細を示すプライバシーラベルの内容に事実と異なるものが多い、と米紙The Washington Postの記者が指摘しています。
App Storeに導入されたプライバシーラベル
Appleは2020年末、App Storeに、それぞれのアプリが収集、外部と共有するユーザーデータを加工食品の栄養表示のように視覚的にまとめたプライバシーラベルを設置しました。
この表示により、ユーザーはアプリをインストールする前に、ユーザーデータの取扱いについて理解できるようになりました。
しかし、The Washington Postのジェフリー・A・ファウラー記者は、プライバシーラベルに事実と異なる内容を表示しているアプリが多い、と指摘しています。
「データ収集なし」と表示のアプリを調べてみると
ファウラー氏は、プライバシーを重視したVPNアプリ「Privacy Pro」を使って、トラッカーによる接続先を記録したところ、調査した数十点のアプリのおよそ3分の1において、プライバシーラベルの表示内容との食い違いがみられたそうです。
例えば、対象年齢4歳以上の「満足 スライムシュミレーター」は、プライバシーラベルでユーザーデータを収集しないと説明しています。
しかし、このアプリはGoogle、FacebookにiPhoneを特定できる情報を送信していたほか、ゲーム開発者向けソフトウェアのUnityには、iPhoneの情報だけでなくバッテリー残量、ストレージの空き容量、おおよその位置情報、音量レベルといった情報も送信していることが分かりました。
同氏は、自身の調査したアプリがごく限られたもので全体を代表するものではないとしても、この食い違いはユーザーの信頼に背くものだ、と指摘しています。
Appleの重視するプライバシー、基盤は不安定?
Appleの担当者は、ファウラー氏の取材に対して「Appleは定期的に情報を確認し、不正確な情報があれば開発者に修正を促しています。プライバシー情報を正確に公表しないアプリは、将来のアップデートが却下されるほか、修正に応じない場合はApp Storeから完全に削除される場合もあります」と説明しています。
ファウラー氏は、App Storeの「Appのプライバシー」欄に「この情報はAppleによって検証されていません」と記されていることと合わせて、プライバシーラベルの表示がアプリ開発者への信頼と事後確認という不安定な基盤の上に成り立っている、と批判しています。
まだ浸透途上のプライバシーラベル
プライバシーラベルは、2020年12月以降に配信されるアップデートにおいて表示が義務付けられています。
そのため、12月以降にアップデートされていないアプリでは、プライバシーラベルに「詳細が提供されていません」と表示されています。
ユーザーとしては、今後、プライバシーラベルでの情報提供が進み、正確な情報を踏まえてアプリの利用を決定できるようになることに期待したいところです。
Appleは先日、アプリやWebサイトがユーザーをトラッキングする際にはユーザーの許可を必須とする制度を2021年春に導入すると発表しています。
Source: The Washington Post
Photo:Apple
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-344545/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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