“いい音”を楽しめるハイスペック有線ヘッドホン Best8【趣味空間を作る傑作モノ】

【特集】趣味空間を作る傑作モノ

昨今、利便性の高さからBluetooth接続型のヘッドホンが人気を集めているが、コロナ禍の影響でオウチ時間が増えたこともあり、より “いい音” を楽しみたいというニーズが高まっている。そこで改めて見直したいのが有線型の高音質タイプ。オーディオ・ビジュアルライターの折原一也さんが、今オススメの8モデルを紹介する。

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再生機器との接続が容易だとか使用シーンを選ばないといった美点から、近年、ヘッドホンはワイヤレス仕様が好まれてきた。しかしオウチ時間が増え、いい音に対するニーズが高まってきたこともあり、ここへ来て有線型に復権の兆しが見え始めている。その一番の魅力は、なんといっても劣化のないサウンドを堪能できること。AV評論家である折原一也さんは、こう語る。

「ワイヤレス仕様はBluetooth経由でプレーヤーなどと接続する仕組みのため、どうしてもスポイルされてしまう音域が生じてしまいます。その点ワイヤードとも呼ばれる有線型は、接続に伴う音の劣化がありません」

音の劣化がないことによるメリットは、どんなシーンで実感できるのだろうか?

「例えば、ボーカルの歌声に含まれる微かな息づかいなどは、ワイヤレス仕様だとつぶれてしまうことがあります。その点ワイヤードタイプ、特に音質を追求したハイスペックモデルは、そうした繊細な音まで再生できる能力に優れています。音の解像感が高く、音場といった空間の広がりもしっかり感じられますよ。とはいえその分、プレーヤーやアンプなどの性能に音質が左右されることがあるので、その辺りのグレードアップにも気を配りたいですね」

 

折原一也さん
PC系出版社の編集職を経て、独立。オーディオ・ビジ ュアル専門誌やWeb媒体、商品情報誌などで、トレンド解説や製品レビューなど多彩な記事を執筆。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める

■音楽鑑賞にベストなリスニングヘッドホン

日常的に音楽鑑賞を楽しむのに適したリスニングヘッドホンは、ハイレゾ音源が身近な存在になったこともあり、昨今、大幅に進化を遂げている。「特に有線仕様の高級タイプは、高音質を実現しながら聞き疲れしにくい音づくりに注力したモデルが充実しています」(折原さん)。

1. 多彩なジャンルの曲をありのままの音で再生

ソニー
「MDR-1AM2」(実勢価格:3万円前後)

ソニー製ハイレゾ対応ヘッドホンの正統派モデルです。ハイレゾならではの繊細さと、高音域の伸びやかさが魅力ですね(折原さん)

100kHzまでの広帯域再生を実現したハイレゾ対応モデル。40mm HDドライバーユニ ットや空気の伝搬をスポイルしない “フィボナッチパターングリル”、ドーム部の形状を見直した振動板などで原音に忠実な再生を実現した。

 

2. 日本特有の丁寧なモノづくりから生まれた逸品

オーディオテクニカ
「ATH-WP900」(実勢価格:8万円前後)

すでに20年以上の歴史を持つウッド製のハウジングが特徴。コンサートホールにいるかのような独特な音の響きを楽しめます(折原さん)

ハウジングには、音の立ち上がりが良く明瞭なサウンドを実現するメイプル材を使用。高音域の特性に優れたDLCコーティング振動板をまとう53mmのドライバーと、クリアな中低域を奏でる新設計バッフルで、格別な音質を実現した。

 

3. 大口径の振動板が自然な音の響きを実現する

ソニー
「MDR-Z7M2」(実勢価格:7万5000円前後)

ソニーのハイレゾ対応機らしく、繊細な音を再生してくれます。特にこのモデルは空間の広がりを感じられる秀作です(折原さん)

70mmの大口径振動板が平面に近い波面を再現する高音質仕様。100kHz再生が可能なHDドライバーユニットと相まって、生演奏のような自然な響きを味わわせてくれる。エルゴノミック立体縫製イヤーパッドなどによる快適な装着感も魅力のひとつだ。

 

4. 密閉型フラッグシップ機の第3世代はより緻密な再生能力を備えた

ベイヤーダイナミック
「T5 3rd Generation」(実勢価格:13万円前後)

音を極めたいマニアックな人にオススメ。好相性のプレーヤーと組み合わせた際の精緻で深みのある音は、驚きのレベルです(折原さん)

電気信号だけでは不可能な高解像度、広ダイナミックレンジ、ひずみの低減を、1テスラ(=1万ガウス)超の強力な磁力で実現した独自のテスラドライバーを搭載。まるで生演奏を聞いているかのようなサウンドを楽しめる。

 

5. 最高の音を楽しめる最高峰モデル

ソニー
「MDR-Z1R」(実勢価格:20万円前後)

旗艦モデルらしく、繊細な音まで再現し、空間の広がりを体感させてくれます。高額ですがそれに見合うだけの音を再生してくれるモデルです(折原さん)

空気感まで表現できるよう最高の技術を投入した旗艦モデル。大口径の70mm HDドライバーユニットが120kHzの超高音域再生と平面波に近い波面を再現する。レゾナンスフリーハウジングにより、ハイレゾの微小音も余さず伝える。

 

■プロも愛用しているモニターヘッドホン

制作スタッフやミュージシャンといった音のプロたちも使用するモニターヘッドホンは、生音に近いリアルな再現性が特徴。「プロと同じモデルというステイタス性も注目を集める理由。その分、音の細部まで明確になる傾向があり、聴き疲れすることもあります」(折原さん)

6. 絶妙なチューニングにより各音域でリアルな音を再現

シュア
「SRH840BK-A リファレンス・スタジオ・ヘッドホン」(実勢価格:2万4000円前後)

細かな音まで収録されたハイレゾ音源なども、深みのある音で再生する密閉型。リスニングユースにも適しています(折原さん)

プロのエンジニアやミュージシャンのために開発されたプレミアム仕様。緻密に作り上げられた周波数レスポンスと40mmネオジム磁石ダイナミック型ドライバーが、豊かな低音域、クリアな中音域、幅のある高音域を再現する。

 

7. 世界中のプロやファンから愛され続ける定番モデル

ゼンハイザー
「HD600」(実勢価格:4万5000円前後)

海外の音楽制作現場などで多用されている開放型のモデル。濁りのないピュアなサウンドを楽しませてくれるのが魅力です(折原さん)

さまざまなジャンルと好相性の、原音に忠実な音を再現する開放型。振動板の定在波を解消する二重構造のDuofolダイアフラムや超軽量のアルミ製ボイスコイル、最適化が図られたマグネットなど、各部に音質優先の設計が施される。

 

8. 緻密な描写力を備えた高品位の開放型モデル

AKG
「K712 PRO-Y3」(実勢価格:3万4000円前後)

オーストリア生まれの音楽制作現場向けモデルで、粒立ちのいい音を奏でてくれるのが特徴。リスニングユースにも最適です(折原さん)

独自のハウジング構造で原音の再現性を追求。高性能ドライバーの採用で、従来の開放型では再現しづらかった低音域も鮮明かつ量感豊かに奏でてくれる。イヤーパッドには、耳の周りの形状に合わせて自在に変形する低反発素材を採用する。

※2021年2月5日発売「GoodsPress」3月号掲載記事をもとに構成しています

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<取材・文/アップ・ヴィレッジ>

 

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