エアブラシと筆塗りの“ハイブリット塗装”で迷彩の自然な塗り分けを再現!【達人のプラモ術】

【達人のプラモ術:かっこいいファントムを作る_02】

前回(>> 黒下地塗装がコクピットをリアルに見せる!【達人のプラモ術】 )から始まった、プロモデラー長谷川迷人による【達人のプラモ術】。今回は、前回組み立てたキットをかっこよくみせる「迷彩塗装編」です。

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スケールモデルおいては、塗装が一番の楽しみであり、また醍醐味です。反面、「塗装は難しいんだよねぇ~」と思っている人も多いかと思います。特に、エアブラシともなれば尚更でしょう。でも、エアブラシ塗装は、簡単なコツさえ掴んでしまえば難しいものではありません。近年では、ビギナーでも扱いやすく、また求めやすい価格のエアブラシも充実しています。プラモデルの塗装でリアルな仕上げを求めるのであれば、是非エアブラシ塗装にチャレンジしてみましょう!

 

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中

▲前回組み立てた「F-4ファントムII」

今回は、前回から組み立て中の 「アメリカ空軍 F-4E戦闘機(前期型)“ベトナム・ウォー”」を、東南アジア(SEA)迷彩と呼ばれる緑色、黄緑色、茶色のスキムをまとった通称ベトナム迷彩が施された塗装していきます。

アメリカ海軍のガルグレーと白の塗装に派手なマーキングも魅力的ですが、迫力のあるSEA迷彩のファントムもまた魅力的な存在。このべトナム迷彩は、筆塗りでも仕上げられますが、色の境目が微妙にボケていることもあり、エアブラシ向きの塗装ともいえるでしょう。

POINT1:サーフェイサーは使用しない

塗装はサーフェイサー(下地用塗料)で下地を整えてから、というのが飛行機のみならず、模型塗装の基本的なセオリー。ですが、本キットは機体全体に施されたパネルラインのモールド(彫刻)が細くとても繊細なため、サーフェイサーを使用するとモールドやリベットラインが埋もれて消えてしまうので使用しないようにと指示されています。同様に、不用意パーツの表面をヤスリがけをするとモールドが消えてしまう場合があるので注意が必要です。

 

POINT2:ラッカー系塗料、水性塗料は好みでチョイス

今回の塗装には、キットの指定色であり、ベトナム迷彩で使用するカラーが揃っていることもありMr.カラー(ラッカー系アクリル塗料)を使用します。エアブラシや筆塗りとの相性もよく、乾燥も早いというメリットがあります。ただし、ラッカー系塗料はシンナー(有機溶剤)を含んでいるため、匂いがきついというデメリットがあります。

塗料の匂いがダメという人は、有機溶剤が含まれていない水性アクリル系塗料(国内ではタミヤ水性アクリル・GSIクレオス水性ホビーカラーの2種類。海外製メーカーの水性塗料ではファレホ、AKカラー等)を使用するとよいでしょう。これら水性塗料もエアブラシ、筆塗りどちらとの相性も問題なく使用できます。海外メーカー性水性塗料の場合、ベトナム迷彩色も揃っているものが多いのも特徴です。

 

POINT3:迷彩塗装は明るい色から暗い色の順番で塗装する

機体の迷彩塗装ではベトナム迷彩はMr.カラー(303・309・310・311)の4色を使用します。エアブラシで機体の下面色の311番のグレーから塗装をしていきます。

迷彩の塗り分けは、塗装図を参考に水性の細書きマーカー(GSIクレオス・リアルタッチマーカー)で迷彩のパターンを機体に直接に描き、エアブラシのフリーハンドで塗装していきます。

▲塗装図の迷彩パターンをリアルタッチマーカー(グレー)でパーツ表面に描き写していきます

フリーハンドは難しいということであれば、塗装図の図面を拡大コピーしたものを切り抜いて迷彩パターンのマスキングを自作して塗り分けるのも良いでしょう。

▲今回塗装に使用したMr.カラーからラインナップされているベトナム迷彩色

エアブラシ塗装の場合、基本明るい色から暗い色の順番に塗っていくので、今回は、311→310→303→309の順で塗装していきます。これは、暗い色を先に塗装して上から明るい塗装した場合、重ねた明るい色が下地色の影響で暗くなってしまうのを防ぐためです。

▲311から順に塗装した状態

また、塗装は、色を塗るというよりも色を描く感覚で(エアブラシであれば意識的な濃淡を表現できるので)、今回のファントムがただの立体塗り絵にならないように進めていきます。

 

POINT4:塗り分けはエアブラシと筆塗りの両方使う

▲塗装が完了した状態。マスキングを使用しないエアブラシ塗装だと迷彩塗装の境目がハッキリしない

ベトナム迷彩は、色の境目がボケていないように見えて実は微妙にボケているという迷彩です(実機はスプレーガンで塗り分けられている)。マスキングを使わないエアブラシ塗装では、色の境目がボケ過ぎてしまうため、作例ではエアブラシと筆塗りを組み合わせたハイブリット塗装で自然な迷彩の塗り分けを再現しています。

▲エアブラシで塗装した迷彩塗装の境目を筆塗りでリタッチし、不自然にならないように調整

▲リタッチ後にセミグロスクリアーのスプレーでオーバーコート塗装を行い、均一な塗装面に仕上げていく

やり方は至極簡単。エアブラシ塗装の後にサラサラに薄めた(溶剤7:塗料3程度)それぞれの色塗料で、境目を細めの面相筆を使いタッチアップ。これでエアブラシの特徴でもあるボケた色の境界部分が調整できます。

塗装した部分と筆塗りを重ねた部分は、そのままでは質感の違いが不自然に見えてしまいますが、仕上げ段階でのクリアー塗装をすることで、質感が自然な感じになってくれるので問題ありません。微妙なボカシ塗装が難しいと感じる人は、マスキングで境目をぼかさずハッキリ塗り分けてしまっても大丈夫。1/72スケールならば不自然には見えません。

■塗装は一日にしてならず

フリーハンドにしてもマスキングを使用しての塗装でも、複雑なパターンの迷彩塗装は、一回の塗装でばっちりキマる…とはいきません。迷彩のパターンがずれたり塗装がはみ出したりする場合もあります。なので塗装→乾燥→修正塗装を繰り返すことで正確な迷彩パターンを描いていきます。エアブラシ塗装では、2~3回と修正塗装を繰り返しても塗膜は厚くならないのですが、筆塗りでは修正を重ねると塗膜が部分的に厚くなってしまうため、筆ムラの原因になりやすいので注意が必要です。

【迷人流!迷彩塗装のポイント】

繊細なモールドを埋めてしまうサーフェイサーによる下地塗装はNGだ。同様に機体塗装も厚塗りにならないように。迷彩塗装は明るい色から暗い色の順で塗り重ねていくこと(長谷川迷人)

第3回では仕上げ塗装とデカールの貼り方を紹介!

>> 次回【仕上げ塗装とデカールの貼り方編】(4月17日公開予定)

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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