将来的に、健康保険証や家のカギ、財布は小さなリングに統合されるかもしれません。フラウンホーファー鋳造・複合・加工技術研究所(Fraunhofer IGCV)の研究者らは、3DプリントでRFIDチップを内蔵したスマートリングを製作しました。
RFIDチップは、3Dプリントのプロセスで埋め込まれ、密閉されているため改ざんできないという特徴があります。たとえば、チップに血液型や薬物不耐性といった医療データを保存しておけば、事故にあったときの情報提供に役立つといいます。
3Dプリント中に電子デバイス用のスペースを形成
スマートリングを実現している技術のベースにあるのは、「粉末ベッドベースの積層造形」と呼ばれるものです。同技術では、微細な金属粉末のベッドに80マイクロメートルのレーザービームをあてて固化。レーザービームをあてない部分は粉末の状態を維持し、これが電子デバイス用のスペースになります。
3Dプリントの途中で、ロボットがRFIDチップをピックアップしてスペースに配置。3Dプリントを再開することで、密閉されたリングができあがります。
RFIDからの信号は1ミリの金属を透過するように設計
金属は通常、RFIDからの電磁信号を妨害します。そこでスマートリングには、金属を透過し通信距離の短い125kHzの周波数帯の信号を採用。1ミリの金属を透過するように設計されているようです。また、製造プロセスで部品が1000℃を超える高温にさらされるため、熱に敏感な電子デバイスを保護する仕組みも取り入れられているようです。
この3Dプリント技術はスマートリングのみならず、さまざまなアプリケーション向けへの応用が可能で、研究者らは現在、製造業向けアプリケーションへの技術適用に取り組んでいるとのこと。たとえば歯車にセンサーを内蔵し、動作中の負荷状態や温度に関する情報を送信するのに利用できるようです。
(文・山田洋路)
- Original:https://techable.jp/archives/154239
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
Amazonベストセラー
Now loading...