LinedockはCESの常連で、アルミ削り出しのハイエンドなドッキングステーションを出展している。2022年は、明確にゲーマーに狙いを合わせたアクセサリーを携えてラスベガスに戻ってきた。この「Line Frzr(ライン・フリーザー)」は、ゲーミングノートPCに流入する空気を事前に冷却するサーモエレクトリックアクティブクーリングデバイスだ。
従来のノートPC冷却ソリューションは、PC内部を通り抜ける空気の流れを増加させるものだったが、Linedockのソリューションは、その戦略をさらに2、3歩進めたものだ。Line Frzrはその空気を、室温から冷凍庫並みの-15°Cまで冷却してから、その凍てつくような冷気をノートPCに注入する。これによってコンピューターのCPUとGPUはより低い温度に保たれ、より高クロックでより高いパフォーマンスをより長く発揮できるようになるという理論だ。
このクールな技術は熱電冷却を利用するものだが、ペルチェ素子をプロセッサに直接接合するのではなく(これは散々実証されている酷いアイデアだ)、Linedockのチームは別のアプローチを考え出した。それは一対の小さな冷却塔で空気をあらかじめ冷却し、そこからラップトップに空気を送り込むというものだ。そのデザインは、ゲーミングノートPCの最も一般的な設計アーキテクチャに基づいているという。バッテリーはキーボードの下に収まり、ノートPCは小さな足で持ち上げられて空気の循環を最大に高め、空気を大量に掻き込む2基のファンが搭載されている。
「電子部品には推奨動作温度というものがあります。CPU / GPUのサーマルペーストについても同じことが言えますし、それが最も重要なのはバッテリーです」と、Linedockの共同創業者であるNancy de Fays(ナンシー・デ・フェイ)は、氷点下の空気をノートPCに吹き付けても害がない理由を説明する。「Line FrzrはノートPC全体を凍らせるのではなく、ノートPCの吸気口に氷点下の空気を送り込みます。その空気はファンに流れ込み、最終的にヒートシンクのラジエーターを通過します。ノートPCのファンは氷点下の温度に対応しており、さらにノートPCの温度を監視する赤外線センサーによってこのシステムは制御されています。GPU/ CPUが50℃以下になると、システムは冷却を停止します」。
「ノートPCの電子機器ではなく、ファンに空気を送り込むように、私たちはデザインしました。Frzr自体は携帯用ではありません。自宅でゲームをプレイするときにゲーミングノートPCに大量の冷却を加え、本物のデスクトップPC並のパワーを利用するためのものです」と、LinedockのCEO兼共同設立者であるQuentin Malgaud(クエンティン・マルゴード)氏は説明する。「実は私たちは、(2017年に)最初のIndiegogo(インディゴーゴー)キャンペーンに取り組んでいたときに、このコンセプトには着手していたのですが、バッテリー駆動にできるほど効率が良くなかったので、後回しにしていました。(マルゴード氏はCESの同社のブースで技術プロトタイプをジェスチャーで示し)この不良少年でのテストでは、最大25%のCPUスコアの改善が見られました」と語った。
「ゲーミングらしい外観にしたかったので、このように小さな冷却塔が備わったデザインにしました」と、デ・フェイ氏は説明した。
そもそも、この製品が良いアイデアなのかどうか、私には少し疑問に感じられた。素人考えでは、熱特性の異なる部品を急速に加熱・冷却すると問題が生じるのではないかと思ったからだ。しかし、同社によると、そんな心配は杞憂であるようだ。Frzrの上に置かれたノートPCの温度を監視する赤外線サーモスタットシステムを使うことで、問題を未然に防ぐことができるという。冷却は必要に応じて自動的に行われ、ドライバーのインストールも不要だ。Frzrは温度センサーからのデータを平均化することで、独自に冷却を管理する。
LineはノートPCの温度を観測するIRセンサーに関する特許を取得しており、その他にも多数の特許を出願している。
この製品の価格はまだ正式に決まっていないが、マルゴード氏はエンドユーザーが300ドル(約3万5000円)以下の価格を期待するはずだと思っており、同社では最終的な製品が完成するまでに200ドル(約2万3000円)以下にしたいと考えていることを示唆した。2022年10月には、熱心なセミモバイルゲーマーに向けて出荷を開始できる見込みだという。
画像クレジット:Line, Inc.
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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2022/01/08/2022-01-06-line-frzr/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Haje Jan Kamps,Hirokazu Kusakabe
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