2020年に発売された「CT125・ハンターカブ」の爆発的な人気もあって、注目を集めるホンダの「スーパーカブ」シリーズ。1958年に初代モデル「スーパーカブC100」が発売され、2017年には累計の生産台数が1億台を突破したホンダの“顔”とも言えるシリーズです。
現行モデルとしては125cc以下の原付二種が5モデル、50cc以下の原付一種が3モデルの合計8車種がラインナップ。各モデルの特徴と魅力を紹介していきます。
■初代モデルから変わらない基本設計
半世紀以上の歴史を持ち、多くのバリエーションモデルが存在する“カブ”シリーズ。またぎやすいアンダーボーンフレームに、燃費の良い横型エンジンを搭載しているのが特徴です。主要モデルに採用されている前後17インチのホイールも初代から受け継がれたもの。この基本設計の良さが、現在に至るまで世界中で支持されている理由でしょう。
▲1958年式の初代「スーパーカブC100」
フレーム形状は女性でも乗り降りがしやすいように配慮されたもの。水平近くまでシリンダーが前傾したエンジンは耐久性が高く、オイルを入れなくても走った等の逸話にも事欠きません。前後17インチのホイールは、発売当時はまだ多かった未舗装路を安定して走れるように採用されたものですが、これがバイクらしい乗り味を実現しています。
1.「CT125・ハンターカブ」
現在の“カブ”シリーズの人気が高まるきっかけとなったのが2020年発売の「CT125・ハンターカブ」。アップタイプのマフラーや、飛び石による損傷を防ぐアンダーガード、オフロード走行にも対応したタイヤなど、アウトドアに出かけたくなる装備が人気のポイントです。
走行性能に目を向けると、ハンドルの付け根部分まで延長されたフロントフォークと、剛性を高められたフレームによって普通のバイクのような乗り味に仕上がっている点に好感が持てます。「そうは言ってもカブでしょ…」と思っている人は、一度乗ってみるとその完成度の高さに驚くはずです。
☆SPEC
エンジン:124cc空冷単気筒OHC
最高出力:8.8PS/7000rpm
最大トルク:11Nm/4500rpm
重量:120kg
乗車定員:2人
燃料消費率:61km/L
価格:44万円
2.「スーパーカブC125」
「CT125・ハンターカブ」と同じく125ccクラスのエンジンを搭載する「スーパーカブC125」。前後ディスクブレーキで、ABSを装備している点も「CT125・ハンターカブ」と同様です。シルエットは初期型の「C100」を思わせるものですが、前後ホイールはキャスト化されており、現代的なルックスも併せ持っています。
乗ってみるとかなり剛性感が高く、実用バイク的なフィーリングはありません。路面のインフォメーションもしっかり伝わってくるので、バイクを操っている感覚を味わえます。細部の仕上げも高品質で、所有する歓びも感じられる完成度です。
☆SPEC
エンジン:123cc空冷単気筒OHC
最高出力:9.8PS/7500rpm
最大トルク:10Nm/6250rpm
重量:110kg
乗車定員:2人
燃料消費率:70km/L
価格:44万円
3.「クロスカブ110」
レッグガードを取り去ったすっきりしたスタイルと、ヘッドライトガードを装備したLEDライトで、街乗りにもアウトドアにも似合う「クロスカブ110」。それでいて「CT125・ハンターカブ」に比べて約10万円安い価格も魅力です。その分、装備はシンプルで、前後ブレーキはドラム式になっています。エンジンも125ccクラスの2台に比べると、ややトルクが細いのですが、逆にがんばって上まで回して乗る楽しさがあるとも言えます。ただ、ABSの装着義務や環境規制に対応していないことから、近々モデルチェンジや生産終了が噂されています。
☆SPEC
エンジン:109cc空冷単気筒OHC
最高出力:8PS/7500rpm
最大トルク:8.5Nm/5500rpm
重量:106kg
乗車定員:2人
燃料消費率:61km/L
価格:34万1000円
4.「スーパーカブ110」
原付二種を中心とした“カブ”シリーズ人気の起点となったのが「スーパーカブ110」。丸目ライトとレッグガードという初代から続くスタイルを継承しながら、110ccクラスの余裕ある排気量と、テレスコピックタイプのフォークで普通のバイクに近い乗り心地を実現しています。ただ、こちらも前後ドラムブレーキのため、ABS装着義務に対応するため、モデルチェンジが噂されています。
☆SPEC
エンジン:109cc空冷単気筒OHC
最高出力:8PS/7500rpm
最大トルク:8.5Nm/5500rpm
重量:99kg
乗車定員:2人
燃料消費率:62km/L
価格:28万500円
5.「スーパーカブ110 プロ」
フロントに大型のバスケットを標準装備し、見るからに便利そうな“プロ”仕様。リアのキャリアも大型化され、それとともに乗車定員が1人になっています。前後タイヤも14インチになっているのが「スーパーカブ110」との大きな違い。フロントブレーキを簡単にロックできるパーキングブレーキや、強化タイプのサイドスタンドは配達業務で使用されることを視野に入れた装備です。
☆SPEC
エンジン:109cc空冷単気筒OHC
最高出力:8PS/7500rpm
最大トルク:8.5Nm/5500rpm
重量:109kg
乗車定員:1人
燃料消費率:65km/L
価格:30万2500円
6.「クロスカブ50」
アウトドアに似合うガード付きのLEDライトなどは、原付二種の「クロスカブ110」と共通ですが、50のほうはエンジンの排気量に加えて、ホイール径が前後14インチとなっているのが大きな違い。よりキュートな印象です。4速ミッションで、最高出力は3.7馬力になります。モデルチェンジが噂されているので、現行モデルを買うなら急いだほうがいいかもしれません。
☆SPEC
エンジン:49cc空冷単気筒OHC
最高出力:3.7PS/7500rpm
最大トルク:3.8Nm/5500rpm
重量:100kg
乗車定員:1人
燃料消費率:94km/L
価格:29万7000円
7.「スーパーカブ50」
シリーズの顔となるのは、やはり原付一種クラスの「スーパーカブ50」でしょう。レッグシールドを装備したスタイルと、丸目のライトが初代から続く歴史を感じさせます。それでいて、現行モデルはフロントフォークがテレスコピックとなっているので、ブレーキング時の姿勢変化が普通のバイクに近いものになっています。靴を傷めないシーソー式のシフトペダルなので、通勤使用にも向いています。
☆SPEC
エンジン:49cc空冷単気筒OHC
最高出力:3.7PS/7500rpm
最大トルク:3.8Nm/5500rpm
重量:96kg
乗車定員:1人
燃料消費率:105km/L
価格:23万6500円
8.「スーパーカブ50 プロ」
原付一種クラスにも大型バスケットを装備した“プロ”仕様が用意されています。業務用っぽい見た目にはなってしまいますが、バスケットのある便利さは街乗りや毎日の通勤などで実感できるはず。大型キャリアも装備されているので、ボックスなどを装着するのも容易です。前後14インチのホイールは取り回しも良いので、あえてこちらを選ぶという手もあるでしょう。
☆SPEC
エンジン:49cc空冷単気筒OHC
最高出力:3.7PS/7500rpm
最大トルク:3.8Nm/5500rpm
重量:108kg
乗車定員:1人
燃料消費率:93km/L
価格:25万8500円
* * *
長きに渡って愛され続けている“カブ”シリーズ。現行モデルは8車種もラインナップされていますが、これだけの中から選べる時間はもう長くないかもしれません。
これからバイクデビューをする初心者にはバイクの楽しさを教えてくれて、ベテランライダーはセカンドバイクとして買い足してもバイクライフを確実に広げてくれることでしょう。クラッチレスの変速ギアを採用しているので、原付二種クラスでも小型AT免許で乗れるのも魅力のひとつです。
<文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/428886/
- Source:&GP
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