世界一美しいスポーツカーと呼ばれた「ジャガーEタイプ」を作る!【達人のプラモ術<ジャガーEタイプ>】

【達人のプラモ術】
レベル
1/24 JAGUAR E-TYPE (COUPE)
01/04

さて2022年『達人のプラモ術』のトリを飾るのは、ドイツ・レべル製1/24ジャガーEタイプとなりました。1961年に発表され、今年で発売から61年になる英国が誇る名車です。流麗なそのデザインは当時世界一美しいスポーツカーと言われました。キットは2021年にドイツ・レベルから発売された新金型モデルです。(全4回の1回目)

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■各社から出ていたジャガーEタイプのプラモデル

いや早いもので2022年も残すところ1カ月。前回は海の狼“Uボート”を製作しましたが、今回からは久々のカーモデルと相成りました。お題は『世界一美しいとスポーツカーと呼ばれたジャガーEタイプ』です。

名車ということもあり、これまで多くのメーカーがプラモデル化していますが、発売が70年代と古いものが多く、正直入手が難しい。英エアフィックスの1/32スケール(絶版)、新しいところではグンゼ産業(絶版)とフランスの模型メーカー・エレール(現在でも入手可)がキット化しています。さらに古くは、今はなきイマイ、あとバンダイの1/18スケールやブラコの1/8モデル等もありますが、こちらに至っては完全にコレクションアイテムです。

今回のキットは昨年ドイツ・レベルが発売したもので、完全新設計のニューモデルになります。

パーツを見る限りクーぺ、ロードスターともに1964年のマイナーチェンジ後をモデル化したようです。ボディはフロントフードが開閉可能で、搭載されていた3781cc直列6気筒DOHCエンジンもしっかりと再現。インテリア周りも細かく再現されていています。

▲ロードスターもキット化されている

ちなみにロードスターのボックスアートで描かれている男性は、どう見ても英国の俳優ショーン・ビーンなんだけれど、映画でジャガーEタイプに乗っていたのかな? まぁどうでもいいんですけどね。

 

■ジャガーEタイプとは

1961年にジュネーブのモーターショーで発表され、一躍世界の注目を集めたスポーツカーがジャガーEタイプです。流れるような美しいフォルムのボディに3.8リットルの直列6気筒エンジンを搭載、最高速度241km/hという動力性能を誇りました。Eタイプという名称は、当時レースで活躍していたジャガーCタイプやDタイプといったレーシングカーとの繋がりを強調するために採用したものだそうです。

それにしてもいま見ても本当に美しいデザインで、古さを感じさせません。1961年8月、当時のメディアはジャガーEタイプを「自動車界のブリジッド・バルドー(60年代を代表するフランスのセクシー女優。60代以上のオジサン感涙!)」と表現したそうで、フロントマスクそしてテール周りのセクシーなライン、センターロック式のワイヤーホイールの美しさときたら…いや分かります、ブリジッド・バルドーと表現したその記者の気持ち。

そんなジャガーEタイプですが、また同時代のフェラーリなどに比べて価格も低く抑えられていたこともあり、購入希望者が殺到して生産が追いつかなかったそうです。また本国イギリスだけではなくアメリカでも大ヒットのスポーツカーとなりました。

 

■まずはボディの製作から

さて、ジャガーEタイプの美しさに酔いしれていてもキットは完成しないので先に進めましょう。レベルらしいカラーのインスト(組み立て説明図)では、エンジンの製作から始めよと指示されていますが、何はさておきボディの製作と塗装を優先して進めていきます。

カーモデルの場合ボディ塗装がいちばんのキモとなります。そしてボディ塗装の際には充分な塗装乾燥時間(最低でも2日以上、できれば1週間)を取る必要があるんですね。

そこでまずボディを塗装してしまいます。それを乾燥させている間にエンジンや足回り、インテリアの製作を進めておけば、その後の工程で乾燥したボディとすぐに組み合わせられるので、製作中の乾燥待ちといった時間を減らし効率よく作業を進めることができるワケです。

 

■キャンディメタリック塗装

悩ましきはボディの塗装なんですが、クーペタイプのボックスアートでは赤、ロードスターではブリティッシュグリーンで描かかれています。実車を調べてみると、白やアイボリー、シルバー、ブラックなどなど魅力的なカラーが揃っているのですが、ブリティッシュグリーンが少ないのが意外でした。モータースポーツシーンで採用されていたナショナルカラーでは英国は、やや暗いグリーン(ブリティッシュグリーン)を採用していたこともあり、Eタイプでも多いんだろうと思い込んでました。

今回、ボデイカラーは当初、ブリティッシュグリーンでと考えていたんですが、せっかくのエロい…じやなくて流麗なジャガーEタイプのボディラインをより引きたてるカラーということで、メタリック塗装、キャンディグリーンで塗装することにしました。

 

■キャンディ塗装とは?

キャンディ塗装はメタリック塗装の一種ですが、通常のメタリック塗装の上からクリアー塗装を重ねることで(今回の場合メタリックグレーンの上からクリアーグリーンを塗り重ねている)、通常のメタリック色比べて粒子感が抑えられた深みのある質感(高級感)が得られ、また光の当たり方で色の見え方が変化する(特に曲面部分)といった特徴があるので、今回のジャガーEタイプのような曲面で構成されたボディに適した塗装です。

ボディは各部にヒケ(成型する段階で発生する凹み)や表面の荒れがかなり目立つので、パーティングラインをの処理と併せて研磨修正したのち、グレーフェイサーで下地塗装。乾燥後に2000番のフィニッシングペーパーで丁重に研磨して下地を整えています。平滑な下地は作りはメタリック塗装での必須作業となります。

▲エンジンフードにはかなり目立つヒケあり

▲胴体後部にはパーティングラインがガッツリと入っている

▲パーティングラインなどの研磨修正をして一皮剥けた状態のボディ

▲サーフェイサーを塗装したあと確認したら、パーティングラインまだ消えていなかったことが発覚。再度研磨してをしっかりと処理

今回塗キャンディ塗装のベースとなるメタリックグリーンは、フィニッシャーズカラーのピュアグリーンにMr.カラーのシルバーを8対2の割合で混色して自作したカラーを使用

自作メタリックグリーンの塗装はボディのエッジ部分から始めて、荒吹き塗装2回→乾燥→本塗装は3回塗り重ねている

▲下地となるメタリックグリーンの塗装が仕上がった状態。塗装乾燥ブースで2時間ほど乾燥させる(常温ならば最低24時間の乾燥が必要)

▲メタリックグリーンの上からクリアーグリーンを塗装→乾燥→塗装と3回塗り重ねたボディ。メタリックグリーンの粒子感が消えて、深みのあるキャンディグリーンに仕上がった

▲左側がメタリックグリーンで塗装したパーツ。右側がクリアーグレーンを塗り重ねてキャンディグリーンに仕上げたパーツ

▲透明感が出てメタリックグリーンの深みが増しているのがわかる

というワケで、レベル1/24ジャガーEタイプ、第1回といいながらいきなりカーモデル制作のキモともいえるボディ塗装を進めました。ボディはこのあとしっかりと乾燥させます。次回はエンジンとインテリアの制作を進めていきます。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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