5万円以下で買える「チューナーレス4Kテレビ」の音質を聴き比べ!手軽な音質アップ方法も

【5万円以下で買えるチューナーレス4Kテレビ④】

テレビが薄型化したことで、最も影響を受けたともいえる音質。音を響かせるスペースが取れない分、奥行きのない音になってしまうのは致し方ないことなのかもしれません。とはいえ、映像に音は付き物。声が聞き取りづらかったり、壮大な音が軽くなったりすると、やはり残念な気分になってしまいます。

薄型テレビが苦手とする音については、テレビメーカー各社もかなり力を入れていて、少しでも迫力ある音や聞きやすい音、そして響く音にすべく新技術を投入しています。ただし、それらのテレビはお値段もやはりなかなかのものに。

一方、コスパを重視するチューナーレステレビはどうしてもそれなりになりがち。そんな音質をオーディオ・ビジュアルライターの折原一也さんがチェックしていきます。

ちなみに今回の特集で検証しているのは以下の5機種。

ドン・キホーテ「TSM-5001U4K」(店舗上限価格:3万8280円)
ゲオ「WIS AX-MSK50」(直販価格:3万8280円)
イオン「ORION AEUD-50D」(直販価格:4万3780円)
エディオン「TCL 43P63E」(直販価格:4万9800円)
ハイセンス「43A6H」(実勢価格:4万7300円前後 ※チューナー付き)

最後には、手軽にお安く音質アップできる方法も。では各機種の気になる音質を見ていきましょう。

 

■YouTube、Netflix、音楽再生で内蔵スピーカーの音質をチェック

チューナーレステレビは画質ばかり注目しがちですが、実はよく調べずに購入して失敗点として挙がるのが内蔵スピーカーの音質です。

▲薄型化が進むテレビでは条件の厳しい内蔵スピーカー

まずは、チューナーレステレビ4+スマートテレビ1機種のスピーカー位置と音質関連の機能をチェックしていきます。

▼ドンキ「TSM-5001U4K」

下向きスピーカー搭載(出力非公開)。EQプリセットやサラウンド設定が可能。

▼ゲオ「AX-MSK50」

スピーカーは下向き(10Wx2)。サウンドは形式の設定のみ。

▼イオン「AEUD-50D」

スピーカーは下向き(10Wx2)。EQプリセットやサラウンド設定が可能。

▼エディオン「43P63E」

スピーカーは下向き(9.5Wx2)音質設定でカスタマイズが可能。

▼ハイセンス「43A6H」

スピーカーは下向き(7Wx2)。音声メニューでカスタマイズが可能。

全ての機種がスピーカーは2chステレオかつ下向きという最低限の構成。なお、エディオンのみDolby Atmosの立体音響対応、ゲオ、イオン、ハイセンスの3社はDolby Audioに対応です。

もっともこれはあくまでスペック上であり、実際のサウンドは聴き比べてみないと分かりません。そこで、YouTube、Netflix、音楽を再生して音質を聴き比べてみました。

まずは僕のYouTubeチャンネル「オリチャンネル」で声のクリアさを中心にチェック。

▼ドンキ「TSM-5001U4K」
YouTube音質:×
声に強め響きがついたような籠もった音。人の声もやや聞き取りづらい。

▼ゲオ「AX-MSK50」
YouTube音質:×
低音部分が全く聞こえないチープな音質。ラジオのような音で良ければ人の声は聞ける。

▼イオン「AEUD-50D」
YouTube音質:△
下向きスピーカーの位置が分かるレベルで、人の声も響きが付く。声は聞けるが音質面では不満。

▼エディオン「43P63E」
YouTube音質:○
声の厚みとクリアさで総合的には一番まとも。ただ人の声に付く響きはやや気になる。

▼ハイセンス「43A6H」
YouTube音質:△
やや人の声は響くが低域寄りの厚みは多少出る。音の自然さがとしては物足りない。

次にNetflixのオリジナルドラマ『ウェンズデー』(空間オーディオ配信)で臨場感や迫力、セリフの聞きやすさをチェック。

▼ドンキ「TSM-5001U4K」
Netflix音質:△
セリフはやや籠もり気味だが、ドラマらしい音の空間は感じられるくらい。

▼ゲオ「AX-MSK50」
Netflix音質:×
低音がほぼ聞こえず音の空間が狭く臨場感不足。人の声も情報量が物足りない。

▼イオン「AEUD-50D」
Netflix音質:△
ドラマの空間再現はできているが、低音は弱く人の声もやや籠もり気味。

▼エディオン「43P63E」
Netflix音質:◎
音の情報量、セリフのクリアは優秀。立体的な音で臨場感の再現は得意。

▼ハイセンス「43A6H」
Netflix音質:◎
作品の音空間の広がり、セリフのクリアさは十分。映画らしい低音の迫力も出る。

最後に音楽再生。YouTubeアプリを通してYouTube Musicでゴールデンボンバー『ごめんね、愛してる』を聴き比べました。

▼ドンキ「TSM-5001U4K」
音楽音質:△
ボーカルや楽器の音などすべての音に違和感がある。特に歌声がクリアに聞こえないところが残念。

▼ゲオ「AX-MSK50」
音楽音質:×
楽器の音が情報量不足。ベースやドラムの音がほとんど聞こえないほど低音が弱い。

▼イオン「AEUD-50D」
音楽音質:○
人の声はやや弱いが楽器の音、ドラムの低音などは鳴らせているバランス。

▼エディオン「43P63E」
音楽音質:◎
人の声もクリアに聞こえるつライブ感も優秀。ベースやドラムの再現性も十分。

▼ハイセンス「43A6H」
音楽音質:◎
楽器の音やライブ感、低音の再現性は十分。人の声の再現はやや弱め。

内蔵スピーカーの音質比較は、全体的に厳しい結果となりました。チューナーレステレビはサウンド面には力が入っておらず、大手メーカー製と比べると総じて音質に難ありです。

中でも比較的健闘したのは、エディオンとハイセンスの2機種。スピーカーの音質がストレートに現れるYouTubeこそ万全ではありませんでしたが、映画や音楽など臨場感のサウンドは一定レベルで楽しめます。

とはいえ全体的に内蔵スピーカーの音質は少々厳しいチューナーレステレビ4機種&スマートテレビ1機種。中でもドンキとゲオの2機種は厳しい評価になりましたが、そもそもこの2機種、販売価格が税込み3万8280円で、他機種よりも5000円以上安いんですよね。

そこでおすすめしたいのが、外付けスピーカーによる音質パワーアップ。浮いた分を少しだけ外付けスピーカーに使えば、音質改善ができるということです(音質アップについては、&GPで過去に取り上げたチューナーレステレビの記事でも取り上げています)。

ちなみに音質アップに関連したテレビにサウンド機能については以下の3点に注目です。

【HDMI ARC/eARC】

▲HDMI端子を通してサウンドバーを接続するための機能。eARC対応の機種ならロスレスのサラウンドまで対応

【ヘッドホン端子】

▲有線ヘッドホンやアナログ接続のPCスピーカーやサウンドバーを接続するための端子

【Bluetooth】

▲Bluetoothヘッドホンやイヤホンを接続するための機能。ただしワイヤレスの遅延を避けられないため非推奨

ではこれらの各機種の対応を確認してみましょう。

▼ドンキ「TSM-5001U4K」
HDMI ARC:ARC
ヘッドホン端子:○
Bluetooth:○

▼ゲオ「AX-MSK50」
HDMI ARC:ARC
ヘッドホン端子:○
Bluetooth:○

▼イオン「AEUD-50D」
HDMI ARC:ARC/eARC
ヘッドホン端子:○
Bluetooth:○

▼エディオン「43P63E」
HDMI ARC:ARC/eARC
ヘッドホン端子:○
Bluetooth:○

▼ハイセンス「43A6H」
HDMI ARC:ARC
ヘッドホン端子:○
Bluetooth:✕

映画鑑賞を目指した最高の音質アップならARC/eARC接続できる数万円クラスのサウンドバー増設なのですが、さすがに5万円以下のチューナーレステレビに1万円以上するサウンドバー増設はアンバランス。安価に音質をパワーアップする方法としては数千円で購入できるPCスピーカーの増設がおすすめです。Amazonで約2500円で購入できる「Creative Pebble」ならお手頃価格で音質改善できます。これを加えるだけで、ドンキやゲオも音質評価の上位に踊り出ますよ。

▲ヘッドホンジャックに接続できる「Creative Pebble」による音質アップ(写真は「Creative Pebble v2」)

*  *  *

音質比較・サウンド機能編の評価は以上の通りです。次回最終回は、まとめ・総合評価編として各機種の評価とコスパ診断をしていきます。

>> 5万円以下で買えるチューナーレス4Kテレビ

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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