あの名作ガスヒーターがガス検認証となって帰ってきた!

【アウトドア銘品図鑑】

秋冬のキャンプは楽しいけれど、唯一ツラいのが足もとの寒さです。

低めの焚き火台を使い、薪の上に足を乗せるなどできるだけ冷たい地面から遠ざけるとずいぶん楽ですが、いつでもどこでも焚き火ができるとは限りません。

長らくカセットガスを使ったアウトドア用ハンディガスヒーターが製造・販売されていて寒い時期の釣りやキャンプで大いに役立っていたのですが、2018年に液石法に基づく技術基準が変更。それまで「PSLPGマーク」不要だったアウトドア用ハンディガスヒーターも適合性検査に合格した証、「PSLPGマーク」貼付が必要になり一斉に姿を消したんです。

ユーザーからすると「これまで流通していたヒーターは安全だったんだから、それを検査に通せば楽勝でしょ」なんて思いますが、ご存じの通り日本の通称“ガス検”は世界一厳しくて、欧米ブランドのガス製品が一歩及ばず日本上陸が数年遅れるなんてことも当たり前。

結局、ハンディガスヒーターはどうなるんだ? とやきもきしていましたが、今シーズン、ついに岩谷産業の「FORE WINDS」ブランドから「OUTDOOR HEATER」(1万2800円)が登場しました。

今季、同ブランドより屋内・屋外兼用「MULTI HEATER」が発売予定でどちらを選ぶか悩ましいところですが、まずは軽量でソロ向きの「OUTDOOR HEATER」をチェック!

■外観はつまみやスタンドがわずかに変更

▲かつて販売されていたロングセラー、「イワタニ カセットガス ジュニアヒーター」はこんな感じ

ベースとなっているのは2000年代に登場した「イワタニ カセットガス ジュニアヒーター」。古いカタログによるとサイズは190×230×H230mm、収納サイズ190×190×H160mm、重量約890gとありますが、どう変わったのでしょうか。

▲本体の収納サイズ181×208×H169mm、820g

ブースターとともに本体を付属の収納袋に入れて持ち運びます。収納袋は巾着タイプでカセットガスもいっしょに入るほどゆったりしています。

本体を広げてカセットガスを取り付け、ブースターを装着するだけで準備完了。このあたりは「イワタニ カセットガス ジュニアヒーター」と変わりなし。

▲使用サイズW181×D261×H244mm

「イワタニ カセットガス ジュニアヒーター」の現物がないのですが、カタログでサイズを見る限り「イワタニ カセットガス ジュニアヒーター」はスタンドがわずかに狭くて地面に接するところも短く、収納時はリフレクターサイズに収まっていた模様。

「OUTDOOR HEATER」は安定感が増していることがわかります。

つまみやオートイグナイターは「コンパクトキャンプストーブ」と似たデザインに変更されています。大型の樹脂製つまみではなくなりスタイリッシュ。

バーナーにガスを届けるホースもメッシュ状のテープが巻き付けられていますし、ブースターの集熱プレートもデザインがスッキリしています。

リフレクターに記されているロゴはFORE WINDSです。かつてのような刻印じゃなくなったのはちょっとだけ残念。

リフレクター側に傾かないようストッパーが付いたハンドルを装備しています。ハンドルを覆う樹脂カバーが若干薄くなったかも?

■レギュレーターが付いて燃焼も安定

ブースターはもちろん、レギュレーターも内蔵されることになり、より安定した火力を実現しました。

つまみを開いたあと、オートイグナイターで着火。簡単です。

「レギュレーター」搭載の為、使用中も火力が安定した状態で持ち運びができます。
持ち運んでも炎が燃え上がることがありません。

▲出力1.28kW(約1100kcal/h、ガス消費量92g/h)

丸いバーナーがだんだん赤くなってじんわり暖かさを感じます。風を考慮すると、有効範囲はバーナーの前50cmほど。

使用時間はスタンダードな「FORE WINDS ノルマル」で160分、「FORE WINDS イソ」だと168分。おおよそ2.5時間だと考えればよさそうです。ちなみに容量が約半分の「カセットガスジュニア」では75分ほど燃焼。

「イワタニ カセットガス ジュニアヒーター」は出力1200kcal/hでガス消費量97g/hだったので少しだけ出力が抑えられていますが、正直いってこの差はわかりません。

▲バーナーの角度は2段階

カセットガスを水平にするのがスタンダードな使い方ですが、リフレクターを上向きにしても使用OK。

スタンドを足でしっかり押さえ、カセットガスと本体接続部分を支えながら動かすとロックがはずれてリフレクターを上向きにできます。リフレクターが上向きになると指先をあたためるときも大きく屈まなくて大丈夫! これ、便利です。

ただ、この状態ではロックが弱めなので、動かすときはカセットガスを水平にしたほうが安心かも。

ちなみにヒーターを持ち上げてちょっとだけ移動させる、リフレクターの角度を変えるなんてときにはバーナーが揺れますが、レギュレーターを搭載しているので炎が上がることはありません。

▲リフレクターや電極が汚れたら手前のカバーを取り外してケア

「OUTDOOR HEATER」最大の特徴は、バーナーのそばにある真鍮色のプレートが熱を集め、それをブースターを通してカセットガスに伝えるということ。カセットガスは低温に弱いのですが、この仕組みがあるのでガスの気化が安定するんですね。

しかも「OUTDOOR HEATER」はイソブタンの比率を高めた「FORE WINDS イソ」や「イワタニカセットガスパワーゴールド」といった低温対応の燃料を使えます。

気になる使用温度は「気温5℃以上」。そして、「OUTDOOR HEATER」はほかの火器同様、テントやタープ、シェルターの中や車内での利用は禁止です。

氷点下では完全燃焼しない危険があるので使用不可とのこと。屋外使用限定なのは納得ですが、ブースターとレギュレーター搭載なのにこれは少々残念…ですが、雪中キャンプでは防寒ブーツなどそれなりの対策をして臨むし、無積雪エリアの通年キャンプ場だと最低気温が0℃前後ですがそれは明け方のこと。寝る前に焚き火をしている時間帯や、朝ごはんの準備をする時刻には5℃くらいにはなっているわけでそう考えれば“アリ”でしょう。

ハンディガスヒーター「OUTDOOR HEATER」は歴史的なモデルでありながら新基準を満たした新製品。ライバルの灯油ストーブやカセットガスのヒーターよりも軽くて持ち運びやすいし、屋外で使うことを考えた専用設計なのは頼りになりますね。

岩谷産業お客さま相談室 0570−200−665

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<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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