ご存じ“ルービックキューブ”は、1974年にハンガリーのエルノー・ルービック氏が発明した立方体のパズル。1980年に日本で発売されると、初年度だけで400万個を売り上げるなど大ブームとなった。
2024年に誕生から50年を迎えるルービックキューブだが、コロナ禍に世界的に人気再燃。日本でもシリーズ累計出荷数が1400万個を突破するなど、大いに売り上げを伸ばしている。いまだ根強い人気を誇るルービックキューブを彷彿とさせる、AI搭載の光るパズル製品が登場した。
TokTok Cubeは立方体の6面がLEDになっており、その光で色を再現するパズルキューブ。見た目は異なるが基本の遊び方はオリジナルのキューブと同じだ。面を回転させる際に「Tok」という小気味よい音がすること、キューブ本体が「Talk」できる音声ガイド機能を追加したことから「TokTok Cube」と名付けられた。クラウドファンディングサイトIndieGoGoでのプロジェクトは2024年4月末に終了、300人超の支援者から約280万円の資金調達に成功している。
初代へのフィードバック反映で完全別物に進化
初代である「eX-Mars」を2020年に発売した後、「キューブの回転速度をもっと速く」や「もっと軽くして」、「LEDの色を本物のキューブの色に近づけて」といった声やアプリを活用したオンライン対戦への要望が届いた。それらのフィードバックを反映させたのが、今回登場した第2弾のTokTok Cubeだ。
初代に比べ最大3倍となった回転速度は、DCMD(Damping-less Cylinder Magnetic Driver-pin)テクノロジーによって実現したもので、この技術は現在特許出願中とのこと。
下の画像にある「LEARN」機能では、AIが面のそろえ方を教えてくれるほか、素早く解けたら褒めてくれたり操作の間違いも指摘してくれたりと心強い。「PLAY」ではキュービングロボットが色をシャッフルしたり、解くのにかかった時間を計測してくれる。所要時間は画面に表示される(LEDが1面に数字1文字を表示)ほかに、音声読み上げも。音声ガイドはアップデートで実現した機能だ。 「CONNECT」のオンラインバトルは、専用アプリによって実現したもの。アプリを使ったツーウェイモードでは、スマホ画面をタッチして「3Dバーチャルキューブ」を操作できる。キューブ本体をアプリ操作できることで、オンラインでの大会や対戦が可能になった。オンラインでさまざまなレベルのプレーヤーと対戦するうちにスキルが上達して、世界中のキューバーと競い合えるようになるかもしれない。
そして「ENJOY」のSTEMはおなじみ「science, technology, engineering, and mathematics」の頭文字。3×3、2×2、ダイヤモンドパズル、Xパズル、最少手数、ブラインドチャレンジ、時間制限チャレンジ、逆手チャレンジなど20種以上のパズルゲームを楽しめる。また、掛け算表ゲームやサイコロゲームなどでSTEM玩具としても使用可能だ。ただし、まずは簡単な操作で解ける基本のゲームを試して、面・色の回転を理解することが推奨されている。1~2回で自信が付き、初心者でもスピーディーにパズルを解き進められるので、高難度のシャッフルにも自然と挑戦できるようになるという。
TokTok Cubeの本体カラーは白と黒の2色。クラファンページでは現在も約9000円で購入可能だ。
韓国発スタートアップSmartCubeLabs
同製品を開発・販売するのはSmartCubeLabs社。韓国に本社を置き、米メリーランド州にパートナーおよびサービスセンターがある。
自社のハイテク技術によって誰もがゲーム感覚で楽しめるパズルを目指し、韓国で設立。世界初とするインテリジェントなロボットキューブ「eX-Mars」を2020年に発表した。それが複数の有名YouTuberに取り上げられ、動画の再生回数は1億5000万回超、600万の「いいね!」を獲得。100ドルという高額にもかかわらず、自己解決型ロボットキューブとして人気を博した。
最初のプロジェクトの成功を受け、第2弾プロジェクトとなるTokTok Cubeが新たに開発されたという流れだ。TokTok Cubeをお披露目したイベントGlobal Puzzle Cube Competitionでは、世界中のキューバ―からポジティブな反応が得られたとしている。
コロナ禍に人気再燃のルービックキューブ、市場も急成長
Business Research Insightsのレポートによると、世界のルービックキューブの市場規模は2022年に600万米ドル相当と推定されており、2031年までに881万米ドルに達するという。新型コロナウイルスによるパンデミックが市場に影響し、ルービックキューブはパンデミック前と比べて全地域で予想を上回る需要に達した。
地域別に見るとルービックキューブの愛好家やコミュニティが存在する中国、日本、韓国、インドなどで市場拡大が続くと予想されている。また、北米も大きなシェアを占めており、愛好家やコミュニティによって確立されたネットワークの恩恵を受けているとのことだ。
日本でルービックキューブを販売するメガハウスによると、1980年の日本国内発売以降のシリーズ累計出荷数が2020年7月に1400万個を突破。「おうち時間」で再び注目を集め、1人でじっくり遊べることや、世代を超えて楽しめる点、自粛期間中に特技を取得したいといった理由で購入者が増えたという。
いわゆる“脳トレ”の一環として全年齢層で頭の体操ゲームやパズルの人気が需要を押し上げているほか、問題解決・空間推論・批判的思考などの認知能力向上に役立つSTEM教育ツールとしても認識されているようだ。
引用元:IndieGoGo
(文・根岸志乃)
- Original:https://techable.jp/archives/233525
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:根岸志乃
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