ポケットに収まる355g。FUJIFILMの最新ミラーレス「X-M5」が最強のスナップシューターである理由

【趣味カメラの世界 #14】

スマホの普及により、カメラの必要性が問われる時代になりました。しかし、“写真を撮る”ことが手軽になった分、「人より良い写真を撮りたい」という欲求はむしろ高まっています。

そんな中、注目されるのが軽くて小型なカメラ。スマホに慣れた人々にフィットする、持ち運びやすく高性能なモデルが支持を集めています。その代表格が、2024年の11月28日に発売されたFUJIFILM(富士フイルム)の最新ミラーレス「X-M5」。フォトグラファーの田中さんに、全2回にわたりその魅力を深掘りしていただきます。

監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。

 

*  *  *

現行のXシリーズで最軽量の「X-M5」(13万6400円/ボディのみ)。公式HPでも「小さい」「軽い」というところが強調されていて、確かにその通りだなと思います。何だかんだ言って、この「小さい」「軽い」っていうのは持ち運びが楽で、とにかく便利。この連載でも何度も感じていますが、やっぱり正義なんですよね。

「X-M5」は動画、特にVlogで注目されがちなんですが、私はコンパクトなレンズをつけて、日常をサクッと切り取るスチールカメラとして使うのがピッタリだと思います。

そんなわけで、今回はスチール撮影の実力に注目してみます。一体どんな写真が撮れるのか、楽しみです!

■FUJIFILM富士フイルムらしさが光る!つい持ち歩きたくなるクラシカルデザイン

「X-M5」は、Xシリーズの小型軽量カメラらしく、クラシカルなデザインコードを採用しています。

そのコンパクトでレトロな見た目は、日常の相棒としてつい持ち歩きたくなる魅力があります。普段の散歩やちょっとしたお出かけでも、「これなら気軽に持っていけるな」と思わせてくれるカメラです。

今回は、コンパクトな単焦点レンズを試してみようと思い、Xシリーズの中でも特に小型軽量な「XF27mmF2.8 R WR」(6万2700円)を装着してみました。レンズとカメラを合わせた重量は約440g(ボディ単体は355g)で、とても軽量です。

このレンズは、35mm判換算で41mm相当の画角を持っています。いわゆる標準レンズとされる50mmより少し広めの画角で、自然なパースが得られるため、ストリートスナップにぴったり。

小型で軽量、女性でも扱いやすいコンパクトさは、スマホカメラからステップアップする際の最初のカメラとして最適です。

ファインダーレス仕様で、背面の操作系も必要最低限に抑えられています。それでも、AFポイントの移動に使えるフォーカスレバーがしっかり採用されているのは、個人的にうれしいポイントです。

軍艦部には、フィルムシミュレーションダイヤルが採用されています。このダイヤルは「X-T50」で初めて搭載され、富士フイルムの特徴でもある“フィルムシミュレーション”をより手軽に使えるのが魅力。詳しくは、「X-T50」の回もぜひご覧ください。

■散歩が楽しくなるカメラ。「X-M5」は日常を切り取る良き相棒だ

軽量コンパクトな「X-M5」には、普段から持ち歩きたくなる魅力があります。カメラを持って散歩していると、何気ない日常が少し特別に感じられ、つい写真を撮りたくなります。

▲ シャッタースピード1/900秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

夕方の西日がきれいだなと思い、思わずシャッターを切りました。「X-M5」を持ち歩いていることで、いつもの風景が少し特別に感じられます。

「XF27mmF2.8」は、逆光耐性が決して弱いわけではありませんが、強い光が直接当たるとフレアが発生します。それもまた、写真の良い味わいとして楽しめるポイントだと感じました。

▲ シャッタースピード1/1250秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシッククローム

差し込む光とドライバーのシルエットには、思わずドラマ性を感じます。「クラシッククローム」の落ち着いた雰囲気が、光と影のコントラストをさらに鮮明に引き立てています。

▲ シャッタースピード1/120秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシッククローム

▲ シャッタースピード1/1100秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシッククローム

▲シャッタースピード1/4000秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:ACROS

▲ シャッタースピード1/70秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ

今回の撮影では、好きなフィルムシミュレーションをいろいろ試しながら、シーンに合わせて切り替えてみました。

中でも、ちょっとレトロな看板には「ノスタルジックネガ」がすごくしっくりきます。叙情的な雰囲気が絶妙で、思わず「これだ!」と感じました。

▲ シャッタースピード1/250秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ピントが合っていない写真なんですが、あとで見返してみたら、なぜかすごく印象に残っている1枚でした。

「クラシッククローム」の渋い色合いと、ピントが外れたことで出てきたレトロな雰囲気が、なんとも言えない味わいになっている気がします。こういうの、撮ったときは気づかないんですよね。

▲ シャッタースピード1/125秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシッククローム

ガラスの反射が入り込んで、不思議な雰囲気の写真になりました。

普通なら複雑な反射でごちゃごちゃしそうなところですが、「クラシッククローム」の落ち着いた色調が効いて、意外と良い感じにまとまっています。こういうのを見ると、やっぱりフィルムシミュレーションってすごいなと思いますね。

▲ シャッタースピード1/420秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:ACROS

▲ シャッタースピード1/4000秒、F2.8、ISO160、WB Auto、フィルムシミュレーション:クラシッククローム

特に変わったことのない、なんてことのない風景なんですけど、「X-M5」と一緒に歩いていると、なぜか新鮮に見えるんですよね。

光と影のコントラストが繊細に表現できるのは、このコンパクトさでありながら、しっかりした性能を持っているカメラとレンズのおかげだと思います。やっぱり良い道具って、日常の景色をちょっとだけ特別にしてくれるんだなあと感じます。

■初心者にもおすすめ。日常を切り取る「X-M5」で新しい発見を

「X-M5」は、軽くてコンパクトなボディにクラシカルなデザインを備えた、なんとも魅力的なカメラです。さらに「XF27mmF2.8 R WR」みたいな小型レンズと組み合わせると、日常を切り取るスナップシューターとして抜群の相性を発揮します。

中でも、富士フイルムらしいフィルムシミュレーションが、何気ないシーンを特別な一枚に変えてくれるところが本当に印象的です。

本機はXシリーズの初めての一台としてはもちろん、他のXシリーズのサブカメラとしても十分に活躍してくれると思います。スマホでは味わえない奥行きや質感を持ちつつ、軽くて持ち運びやすいところも初心者におすすめできるポイントですね。日常のちょっとした瞬間も、「X-M5」と一緒なら新しい発見があるかもしれません。

次回は、動画機能やポートレート撮影を通して、「X-M5」の魅力をさらに深掘りします。お楽しみに!

>> FUJIFILM「X-M5」

>> 趣味カメラの世界

<取材・文/田中利幸 モデル/マナ(@_97ma09) 取材協力/富士フイルムイメージングシステムズ>

【関連記事】

◆“5000万画素”の圧倒的描写力に脱帽。ハッセルブラッド×OPPOが切り開くスマホカメラの最前線
◆不便だが、それで良い。リコーのオールドコンデジで再確認した最新カメラとは違う写真の楽しみ方
◆自然なボケ味がイイ感じ。「こういう写真が撮りたかった」を叶えるハッセルブラッド×OPPO


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA