2025年3月3日〜6日、スペイン・バルセロナで開催された世界最大級のモバイル展示会「MWC Barcelona 2025」。世界中の通信事業者、端末メーカー、サービスプロバイダーなどが一堂に会するイベントで、スマートフォンの最新モデルやコンセプトモデルも多数出展されていました。現地に赴いて取材してきた筆者が “これから来るかも!?” と思った3つのトレンドについて紹介します。
1. 外付けカメラで高画質化
今年のMWCでは、シャオミが最新の「Xiaomi 15シリーズ」を発表し、注目を集めていました。フラッグシップの「Xiaomi 15 Ultra」はすでに日本でも発売され、人気を集めていますが、MWCではスマホに装着するレンズ型カメラのコンセプトモデルも関心を集めていました。
▲シャオミが出展した「Xiaomi Modular Optical System」
展示されていたのは「Xiaomi Modular Optical System」というもので、スマホの背面にマグネットで取り付けると、スマホと連携し、スマホからの操作で撮影できる仕組み。
▲スマホ側に接続端子があり、そこにレンズカメラを装着する
▲スマホの「カメラ」アプリで撮影できる
ソニーが2013年に発売した「レンズスタイルカメラ」に近いコンセプトですが、レンズスタイルカメラは単体で撮影できるのに対して、シャオミの製品はスマホのアクセサリーという位置付けで、対応するスマホと接続し、画像処理はスマホで行う仕組み。出展されていた製品は単焦点レンズでしたが、商用化された場合は、望遠レンズが用意されることも期待できます。
中国のRealmeというメーカーも、レンズを装着できるスマホのコンセプトモデル「Realme Interchangeable-lens Concept」を出展していました。スマホに1インチのイメージセンサーを搭載していますが、それだけでは撮影できず、デジタル一眼カメラ用のレンズを装着して撮影する趣向。
▲Realmeのコンセプトモデル。スマホ側に1インチセンサーが搭載されている
▲スマホの背面にレンズを装着するためのアダプターを取り付ける
▲デジタル一眼カメラ用の望遠カメラを装着でき、撮影の幅を一気に広げられる
もちろん1インチの大型センサー以外に、普段使い用の小型カメラが搭載されていて、それでも撮影できる仕組みです。本格的に撮影を楽しみたい時のみ、スマホの背面にアダプターを装着し、レンズをカチッとはめて、デジタル一眼カメラとして撮影できる、というわけです。MWCではライカのレンズを装着してデモンストレーションが行われていましたが、ライカと共同で開発している訳ではなく、他のマウントへの対応も視野に入れているとのこと。
スマホカメラの性能競争は、一段落した感があります。さらに画質を向上させるには、高性能レンズが必要ですが、それをスマホの薄いボディに搭載するのは困難。外付けレンズは必然的なトレンドと言えそうです。
2. スマホの薄型化が始まった!
中国のTECNOというメーカーは、厚さ5.75mmのスマホを出展して注目を集めていました。「TECNO SPARK Slim」というモデルで、6.78インチの大画面ディスプレイを搭載し、背面にはデュアルカメラを搭載。さらに5200mAhの大容量バッテリーも搭載しています。あくまでもコンセプトモデルとしての出展でしたが、実際に動作する状態で展示され、近いうちに商用モデルを発売する予定であることも明かしていました。
▲TECNOは世界最薄5.75mmのスマホのコンセプトモデルを出展
▲横から見ると、こんな感じ。底部にギリギリUSB-Cケーブルを挿せる
スマホの薄型化は、昨年末あたりから新しいトレンドとして話題になることが多く、1月にはサムスンが「Galaxy S25 Slim」を発表。詳細なスペックは発表されていませんが、厚さは6.4mm程度になると言われています。Galaxy S25 SlimはMWCのサムスンのブースにも展示されていましたが、端末に触れることはできませんでした。
▲サムスンは今年発売予定のGalaxy S25 Slimを展示していたが、触れることはできなかった
TECNO SPARK SlimはGalaxy S25 Slimよりも0.65mm薄く、しかも商用化が近いことをうかがわせて、サムスンのお株を奪った形です。
▲TECNO SPARK Slimはコンセプトモデルだが、2色のカラバリを用意し、すぐにでも商用化できそうな印象だった
なお、MWCに合わせてバルセロナで「OPPO AI TECH SUMMIT」というイベントを開催したOPPOは、2月に発表したばかりの折りたたみ式スマホ「OPPO Find N5」を出展。閉じた状態では8.93mmで、開くと4.21mmという薄さ。折りたたみ式スマホは重くてかさばるという先入観を持つ人が、この端末に触れたら、「これなら持ち歩ける!」と思うこと請け合いです。
▲OPPO Find N5は、折りたたんだ状態でもフツーのスマホの感覚で使える
▲開いた状態の厚さはわずか4.21mm
薄型化は “これから” ではなく、すでに始まっているトレンド。OPPO Find N5やGalaxy S25 Slimで発売されることを期待しましょう。
3. 電子ペーパーを採用したシンプル端末にも要注目!
MWCの会場を回っていて、大きなブースでは見かけないものの、あちこちで目にしたのが電子ペーパー(E Ink)を採用した端末。サラサラとした質感で、目に優しく、電池持ちが長いことが利点。新しい技術ではありませんが、ミニマリストやエシカルな指向に応える製品として、これから注目度を増すかもしれません。
中国の総合家電メーカー・TCLは、独自開発の「NXTPAPER」というディスプレイを搭載するスマホ「TCL 60 SE」を出展していました。NXTPAPERは電子ペーパーのように反射を抑える性質を持ち、消費電力が少ないことが利点。カラー表示にも対応し、「Max Ink」「Ink Paper」「Color Paper」の3つのモードに切り替えられます。最も消費電力が少ない「Max Ink」モードでは、最大1週間の連続使用を見込めるそう。TCL 60 SEはスペックが控えめで、価格は189ユーロ(約3万円)〜とお手頃です。
▲NXTPAPERを搭載し、表示モードを切り替えられるTCL 60 SE
▲左がInk Paper表示、右がColor Paper表示
▲格安ながら背面パネルの質感もよかった
ポーランド・ワルシャワ発のベンチャー・Muditaのブースには「Mudita Kompakt」というコンパクトなケータイが出展されていました。コンパクトなスマホに見えますが、実際は4Gまでに対応するガラケーで、4.3インチのE Inkディスプレイが搭載されています。
▲手のひらサイズで、タッチで操作できる
▲カラバリや純正ケースも用意されている
通話とSMSを利用でき、カメラ、カレンダー、電卓などのアプリがプリインストールされています。オフラインで使える地図をダウンロードすることもできるそうです。デュアルSIM(nanoSIM+eSIM)で使えて、電池持ちは最大6日間。しかし、価格は439ユーロ(約7万1000円)と、機能が少ないわりには高めです。
海外では、あえて何もできない “Dumb Phone” も流行っているそうです。スマホやSNSなどから一定の距離を置くデジタルミニマリズムは、これからも広がっていくと予想されます。日本向けのDumb Phoneが発売される日は近いかもしれません。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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