元祖? 代名詞? 100均? ビーチサンダルを履き比べて分かったこと

<&GP編集部員が買ってみた!使ってみた!>

ビーサンをさらっと履きこなしている人ってかっこよく見えるんです。ぺたぺたと音を立てながら気だるげに歩く姿って憧れるんです。※個人の感想です

自分が似合う似合わないは置いといて、ギラッと強い日差しの時の足元は、やっぱりビーチサンダルかなとは思います。

ただこのビーサン、調べていくと存外に面白い。そこで、ちょっとした小ネタも含めて、王道のビーサン3モデルと、さらに特別ゲストとしてビーサンっぽい2モデルを履き比べてみました。

用意したのは、手元にあったもの含めたこちら。

<上左>ダイソー「ビーチサンダル(無地B)」(110円)
<上中>ブルーダイヤ「ビーチサンダル」(800円)
<上右>ハワイアナス「TOP」(3080円)
<下左>ビルケンシュトック「ホノルル EVA」(6050円)
<下右>クロックス「クロックバンド フリップ」(3422円)
※価格はすべて購入価格

上に並べた3つが、いわゆるスタンダードなビーサンです。では、世の中に数多あるビーサンの中から、なぜこの3つを選んだのか。それはちょっとだけ理由がありまして。

 

■ビーサンの歴史を紐解く

兵庫県明石市にある創業100年超の老舗企業、内外ゴムのビーチサンダルブランド“ブルーダイヤ(BLUE DIA)”。実はこちら、“ほぼ”世界初のビーチサンダルなんです。

誕生のきっかけは第二次世界大戦終戦直前のこと。当時、スポンジゴムは水を吸うモノだったそうですが、軍部から「米軍の爆撃機に使われていたゴムと同じモノ」を作るよう要請があり、それを受けて開発を進めた内外ゴムの技師長・生田氏が1951年に生み出したもの、それが水を吸わない“独立気泡スポンジゴム”でした。

軽くて弾力性があるこのゴムを使い、アメリカの工業デザイナーであるレイ・バスティン氏が作ったパターンをもとに1952年に開発したのが、世界初のビーチサンダル“ビーチウォーク”になります。ちなみにバスティン氏、日本の草履にインスピレーションを得てゴム草履を思いついたとか。

そして、外国人の足型で設計されたビーチウォークをベースに、日本人の足型にして1955年に誕生したのが“ブルーダイヤ”です。

発売から70年が経ちますが、カタチもコンセプトも変えず販売されています(現在はブランド名をビーチウォークに統一した模様)。おそらく”元祖ビーチサンダル”と言える存在なのではないでしょうか。

そしてハワイアナス(Havaianas)。

こちらは1962年にブラジルで誕生したビーチサンダルになります。ポルトガル語でハワイアンを意味する“ハワイアナス”をブランド名にし、ブラジル産のラバーを用いて作られています。

実はこのハワイアナスのビーチサンダル、日本の藁草履をヒントに誕生したといいます。さらにハワイアナスを象徴するソールの“ライスシェイプ”のエンボス加工も日本の伝統に着想を得ているとか。世界的にも歴史のあるビーサンは、どちらも草履がモチーフだったんですね。

当初は白ソール青ストラップのみだったハワイアナスですが、製造ミスから作られた緑ストラップが大ヒット。これをきっかけにカラフルなモデルが作られヒット商品となりました。地元ブラジルでは、1980年代に財務大臣が作成した「ブラジル人の生活必需品目録」の中にサンダルが入っていたという話も。

その後、世界中の有名ブランドやデザイナーとのコラボを行うなどして注目を集め、世界的なブランドとなりました。まさにビーチサンダルの代名詞的ブランドです。

ちょっと横道に逸れてしまいましたが、これら歴史あるブルーダイヤとハワイアナス(の代表モデル「TOP」)に加えて、あえて今回、ダイソーで発売されているビーチサンダルを並べてみました。

なぜなら、ビーチサンダルを調べている中で、心の片隅に「ビーサンなんて100均で買えるじゃん」という気持ちがあったから。履き心地、気になりませんか?

さらに、ビーチサンダルの進化系ともいえるクロックスとビルケンシュトックも加えた計5モデルを履き比べてみました。

 

■ビーサンって痛くない?

ビーチサンダルの履き心地に関係してくるのは、鼻緒(ストラップ)とソールだと思います。ストラップの当たりがイマイチで痛いと感じたり、ソールの硬さや柔軟性で歩きやすさが変わってきたりします。

あくまで今回の評価は個人的感想です。足のカタチは人それぞれ。好みだって違います。なので参考程度に読んでみてください。

ということで、まずは鼻緒の当たりから。

▲ハワイアナス「TOP」

▲ブルーダイヤ「ビーチサンダル」

▲ダイソー「ビーチサンダル」

▲ビルケンシュトック「ホノルル EVA」

▲クロックス「クロックバンド フリップ」

ビーチサンダル3モデルでまず顕著に違いが出たのがダイソー。他と比べてかなり緩めの設計になっています。だから当たりが痛いとかはまったくないんですが、余裕がありすぎて歩く際に脱げそうな感覚に。

▲ブルーダイヤはジャストサイズを選んだからかフィット感高め。ビーサン選びはサイズ選択も重要かも

ハワイアナス、ブルーダイヤはどちらもソール、ストラップともに天然ゴム製で、ストラップは少々硬め。この硬さが苦手という人がいても不思議ではない気がします。ただ、いわゆる“ビーサン”の履き心地ではないかと。前足部にしっかりフィットします。

一方、ソールとストラップが一体成型のビルケンシュトックとクロックスでは、大きな違いが出ました。実はビルケンシュトックが、今回の5モデルの中で最も指の股に痛さを感じたんです。要因はストラップの硬さ。ビルケンシュトックだけ他と比べて硬めなんですよね。

ビルケンシュトックといえば、“フットベッド”という言葉を生み出した、足のアーチに合わせた起伏あるソールが特徴。健康を意識して作られていることからも、「指が開くようにすることで健康効果を得られる」みたいなメッセージがあるのかも。もしくは痛いと感じるのは不健康だからですよ、なんて意味があったりして。ありうるな。履き続けて健康な足になれば痛くなくなるのかな…。

クロックスは、素材がEVAではなく独自の樹脂素材で、ストラップも一体成型。なので快適そのものです。

 

■やわらかけりゃいいってもんでもないのか

次はソールをチェックしていきます。

▲ハワイアナス「TOP」

▲ブルーダイヤ「ビーチサンダル」

▲ダイソー「ビーチサンダル」

▲ビルケンシュトック「ホノルル EVA」

▲クロックス「クロックバンド フリップ」

ここでは、ダイソーのビーチサンダルが圧倒的にやわらかいという結果に。ソールの素材はEVA(ストラップはPVC)なんですが、他と比べると驚くほどやわらかい。

▲なんやかんや言いますが、でもこれたったの110円ですよ

履いてみると、厚底ランニングシューズに似たふわふわ感があります。が、厚みは他と変わらずのビーサンらしい薄さなので、歩くとちょっとした段差も足裏に感じます。ただ立っているだけなら快適なんですが、歩くのは少々しんどいかなーという印象。

▲ぺたぺたぺたぺた、スパンスパンスパンスパン

ハワイアナスとブルーダイヤの天然ゴムソールは、これぞビーサンらしい硬さと反発力があります。王道ですね。足裏にパチンとあたる感触も音も、まさにビーサン。ダイソーに感じた、すぐに磨り減っちゃいそうな雰囲気もなく、がっつり履いても1シーズンは余裕でもってくれそう。ビーサンといえばこれ!という見た目も含め、長く愛されているにはちゃんと理由があるんだなと感じました。

ちなみにビルケンシュトックとクロックスは、どちらも歩きやすさはTHEビーサンモデルよりは良いと思います。とはいえ、いわゆるトング系サンダルなので、長距離を歩くいたり、スピードを上げて歩く場合には向いていません。脱ぎ履きしやすいうえに、ゆっくりのんびり快適に履けるサンダルがいいという人にはピッタリではないでしょうか。

▲左からビルケンシュトック、クロックス、ダイソー、ブルーダイヤ、ハワイアナス

底面は、ビーチサンダルタイプはどれもラグが浅くシンプル。アスファルトばかり歩いていたら、あっという間にツルツルになりそう。でもビーサンってそういうものだよね、なんて思ったり。

 

■結局どれがいいかって?

今回、いろいろ履き比べてみたことで、食わず嫌いはいかんなと痛感しました。ブルーダイヤやハワイアナス、ダイソーのようなビーチサンダルモデルでも、素材やストラップの形状によって履き心地が変わってきて、さらに自分に合った(かつ痛くない)サイズ選択によって、快適さが大きく異なることが分かりました。

ビーサンのメリットって、脱ぎ履きがラクで、汚れてもジャブジャブ洗えて、安く買える気軽さがあることだと思います。

そういう意味で、今回履いたものの中で一番いいなと思ったのはブルーダイヤでした。これはおそらく、ジャストサイズにしたことによるフィット感が大きいと思います。実はハワイアナスが、ちょっと大きめサイズだったんですよね。個人的には距離が500mまではブルーダイヤ、それを超えるならクロックスがいいなー、なんて考えてたり。ビルケンシュトックを履き込んで健康足を目指すってのもアリかも。

きっとビーサンって、こんなことをうだうだ考えているうちは履きこなしている雰囲気は出ないんだろうな、なんて思ったりしつつ、今年の夏は人生初のビーサン履き倒しシーズンにしてみようかななんて思っています。

<取材・文/円道秀和(&GP)

円道秀和|&GP編集部所属。担当ジャンルはITデジタル、オーディオビジュアル、ホビー他。好きなものはコーヒー、旅行、キャンプ、乗り物全般、カレー、ラーメン、アジア料理、小さいギア。好きが高じてSCAJコーヒーマイスターの資格を取得。

 

 

 

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