Shruti Gandhi(シュルティ・ガンディー)氏は、ファーストチェックの資金調達における誤解を解きたいと考えている。すべての創業者がアーリーステージの投資家に肩代わりしてもらう必要があるわけではなく、投資家に他の人とは違う方法で自分のビジネスを理解してもらうことが必要だということだ。
5年前に彼女がエンタープライズ企業を支援するために設立したファンド「Array Ventures(アレイ・ベンチャーズ)」のポートフォリオにある起業家のほとんどは、10年近い経験を持つリピート創業者たちだ。
「私たちが投資する対象は、多くの業界経験と顧客経験を必要とします」と、ガンディー氏はいう。「それは大学を中退して一夜で手に入れられるわけではありません。私たちが投資している分野は、1年の実務経験で夢見るようなものではありません」。率直なガンディー氏は、彼女が「ハードエンタープライズ」と呼ぶ分野に投資するために、数千万ドル(数十億円)の資金を集めた。
先に5610万ドル(約64億円)でクローズしたArray Venturesの新ファンドは、技術的にバックボーンとなるエンタープライズテクノロジーに取り組む30社のスタートアップ企業に投資する予定だ。Array Venturesはそのデビューファンド以来、チェックサイズを15万ドル(約1700万円)から120万ドル(約1億4000万円)、150万ドル(約1億7000万円)へと拡大してきた。ガンディー氏によると、2回目のファンドでは10%だった各案件のオーナーシップを、今後は15%にすることが目標だという。
「大部分のファームがエンタープライズテクノロジーに投資したと主張していますが、特にファーストチェックの段階では、そのほとんどがボトムアップのSaaS企業に焦点を当てています」と、ガンディー氏はいう。「新時代の企業のバックボーンとなるエンタープライズ・テクノロジーに投資できるほど専門的なファームはほとんどありません」。Array Venturesは垂直型のSaaS製品を支援しないと言っているわけではないが(実際には支援している)「高度に差別化された」バックボーンとなる基礎を持つ企業を探している。
しかし、それは実際には何を意味するのだろうか? ガンディー氏は次のように述べている。現在、フロントエンドで見られるものはすべて、ビッグデータを処理し、ユーザーの安全性を高め、クラウドに移行できる、より強力なバックボーン技術を必要としている。ゆえにArrayは、アプリケーションのレベルを超えて、セキュリティ、データ、クラウド・インフラストラクチャに焦点を当てて取り組んでいるスタートアップ企業に投資するということだ。つまり、Dropbox(ドロップボックス)やSalesforce(セールスフォース)ではなく、Snowflake(スノーフレーク)、Okta(オクタ)、Twilio(トゥイリオ)、Databricks(データブリックス)のような企業を思い浮かべて欲しい。
このような新しい技術スタックにArrayは資金を投入している。それは、脅威の検知と対応の自動化、データのオーケストレーション、メディアの発見とライセンス供与などの課題に取り組むスタートアップ企業だ。
Work-Bench(ワークベンチ)のレポートによると、ベンチャー投資のうち女性創業者への投資はわずか1.9%であるという。それを考えると、ガンディー氏の焦点は明らかに特異だ。Arrayのポートフォリオの3分の1以上は女性創業者が占めている。この投資家は、自分のポートフォリオが、技術分野の女性が受けがちな偏見とは対照的であると述べている。
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「女性が会社を設立するとき、人々は消費者向けの会社を設立するものだと考えます。これは市場にある偏見です」と、ガンディー氏はいう。「そしてそれは、企業向けファンドを運営している私にも当てはまります」。
ガンディー氏は、あまり話題になっていないニッチな分野に力を注いでいるため、現代のトップアクセラレーターからの投資機会の流れをつかむことはできないかもしれないが、ハードエンタープライズのコミュニティとのつながりは深いようだ。ガンディー氏のポートフォリオの創業者の半数以上が、彼女のすべてのファンドに出資している。その中には、MozartData(モーツァルトデータ)のPeter Fishman(ピーター・フィッシュマン)氏、Placer.ai(プレーサー・ドット・エーアイ)のNoam Ben-Zvi(ノーム・ベン・ズヴィ)氏、Catch&Release(キャッチ&リリース)のAnalisa Goodin(アナリサ・グッディン)氏、Hermis(ハーミス)のMadhu Mathihalli(マドゥ・マティハリ)とMohan Gummalam(モハン・グマラム)氏が含まれている。
Array Venturesのその他のリミテッドパートナーには、Data Robot(データ・ロボット)Dan Wright(ダン・ライト)氏、Drift(ドリフト)のElias Torres(エリアス・トーレス)氏、Polygon(ポリゴン)のJaynti Kanani(ジェインティ・カナニ)氏、Vanderbilt University(ヴァンダービルト大学)、MPowered Capital(Mパワード・キャピタル)、NSV Wolf(MSVウルフ)などが名を連ねている。
画像クレジット:ivanastar / Getty Images
[原文へ]
(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/12/23/2021-12-21-array-ventures-raises-56m-to-back-tech-heavy-enterprise-software/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Natasha Mascarenhas,Hirokazu Kusakabe
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