ミシガン大学らの研究チームは、超軽量センサー「ミシガンマイクロモート(M3)」の最新版をテストしている。センサーは、渡りをすることで知られる蝶「オオカバマダラ」に取り付けられ、移動を追跡する。
ナショナルジオグラフィックが資金提供した同プロジェクトでは、オオカバマダラの生態を調査。詳細な移動ルートの分析結果は保護活動に役立てられるとのこと。
数秒単位で移動中の環境条件をキャプチャ
M3は、スマートセンシングシステムとして機能するエネルギー自律型のコンピューティングシステムだ。重量は約50mgと、これまでの最軽量クラスの追跡デバイスの10分の1程度で、蝶の背中に載せても支障がない。
研究チームが、事前テストの一環として、M3を蝶に取り付け室内環境で監視したところ、代謝の変化など蝶への悪影響はみられなかったとのこと。
M3によって光や温度、気圧といった移動中の環境条件を数秒単位でキャプチャし、長距離送信する。キャプチャされたデータをアルゴリズムによって分析し、移動ルートを再構築する計画。
ディープラーニングアルゴリズムで環境データを評価
これまでの方法では蝶に紙タグをつけ、越冬地で標本を捕まえて回収する。この方法だと、始点と終点しかわからないのに対し、今回の方法では移動が完全に追跡可能だ。
GPSの搭載するのは重すぎるため、プロジェクトでは原始的な超低電力センサーを採用した。ディープラーニングアルゴリズムとニューラルネットワークを使用して環境データを評価。一致する条件から場所を推測する。
場所の条件として利用される環境データは、約300人の市民サイエンティストによって収集される。市民サイエンティストは、これまでにわかっている蝶の移動ルートに沿って移動。センサーをもっていき、蝶と同じ条件で環境データを収集するようだ。
研究チームは、今後1~2年をかけて蝶の移行範囲全体を調査することを計画している。同プロジェクトがうまくいけば、ほかの野生生物にもM3が展開されそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/140751
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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