【安くて良いもの夏ベストバイ】
2014年に登場したBMW R nineTや、2017年のZ900RSなどの復刻を皮切りにブームとなったネオレトロ人気も、今やすっかり定着。人気とともに価格も右肩上がりの中で、ハイコスパな復刻バイクをモーターサイクルジャーナリストの青木タカオさんが厳選!
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往年の名車をオマージュしたモデルは昔から存在したものの、ここ数年続く復刻ブームは加熱の一途で、とどまるところを知りません。青春時代に憧れた名車が、現代の技術と融合しよみがえり、ベテランライダーには懐かしく、若者たちには斬新に映って、老若男女問わず大人気となっています。
401cc以上では、「カワサキZ900RS」が登場以来5年連続で販売台数1位(二輪車新聞調べ)を獲得するなど、復刻バイク勢が各セグメントで上位をがっちりキープ。昨今バイクの価格は値上がり傾向にあるものの、コロナ禍で「密」を回避して楽しめる手段としてだけでなく、身近な乗り物として需要が高まり、シンプルで軽快、トラディショナルな装いがまた人気の秘訣となっています。
そして今夏、バイクファンがもっとも熱い視線を送っているのが、「カワサキZX-4R」です。かつて日本を席巻したヨンヒャクのスーパースポーツが戻ってきました。日本特有の排気量帯であることから絶滅危惧種とも言われていた400ccクラスに、DOHC4バルブ直列4気筒エンジンを新開発して投入。
最高出力は前代未聞の77psにも達し、何もかもが振り切っているのだからたまりません。完売必至の話題作ですよっ!
モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオさん
バイク専門誌編集部員を経て二輪ジャーナリストに転身。世界各国を飛び回り、メーカー・タイプ問わずあらゆるバイクに精通。詳しくない人にも分かりやすい文章に定評がある
■ヨンヒャク・インラインフォーの雄叫び、再び!
Kawasaki
「Ninja ZX-4R」(112万2000円〜)
レーサーレプリカ時代にもなかった空前のパワー!カワサキが日本のライダーのために、ヨンヒャクを本気度120%でつくってくれました!!(青木さん)
アッパーカウルのど真ん中に設けられたラムエアインテークは、Ninja ZXシリーズのトレードマーク。走行風を加圧し、効率的にエアを取り込みハイパワーに貢献する。重心やスイングアームピボット、エンジン軸の位置やキャスター角などシャーシの主要寸法は、スーパーバイク世界選手権に参戦するレースマシン「Ninja ZX-10RR」の設計思想を直々にフィードバック。軽量なトレリスフレームは、カワサキ先進の解析技術により生み出された。
▲新開発の4気筒エンジンは、400ccクラス歴代最高の77PSを叩き出す。ジョイントパイプでヘッダーが連結され、トルクも強力だ
▲最上級のRRは、「Ninja ZX-10R」同様のSHOWA製BFRC-liteを採用。サーキット走行でも良好な接地感をもたらす
▲フルカラー液晶メーターはスマートフォンとの相互通信が可能。電話着信やメール受信情報をディスプレイできる
■各社からネオレトロモデルが続々登場!
名車たちのフォルムをそのまま再現するのではなく、積極的に現代的なデザインエッセンスを加え、スポーツヘリテージとして新しい価値観を創造しているのが、ヤマハXSRシリーズ。
2016年にデビューした長兄XSR900は、1986年に世界GPを戦ったYZR500のゴロワーズカラーを身にまとい、同年のRZ250Rのムードを想起させたかと思えば、さらに700もまた白×青のRZ350、黒×金のRZ250のイメージカラーを新採用。当時を知るファンが、この姿を見て歓喜したのは言うまでもありません。
そして今春、海外向けに先行発売された125も国内への導入が決定。目が離せない存在となっています。機動力が高く、経済性に優れることから、ただでさえ人気の原2クラス。そこへ80年代に根強く支持されていたRZ125譲りのボディカラーですから、ファンは発売を首を長くして待っています!
その他にも圧倒的な人気を誇るカワサキのZ900RSを始め、エリミネーターも復活。現在トレンドとなっているスクランブラーも、ホンダのCL250に加え、BMW R nineTがドイツで登場。このネオレトロ熱は今後も一向に冷めそうにありません。
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■「ゴロワーズ」や「RZ」、カラーで魅せるXSR3兄弟
Yamaha
「XSR900」(121万円)
懐かしいのは色だけじゃない!80年代マシンのように、やや腰を後に引いたライポジが安心感を生むんです!!(青木さん)
PVで一緒に映し出されたのは、クリスチャン・サロンが1986年の世界GPを駆け抜けた青いYZR500。80年代のレーシングマシンに見たデルタボックスフレームやトライアングルタンク、台形テールを採用。タイムレスデザインとして、ヤマハらしいレーシングスピリッツが宿る。
Yamaha
「XSR700」(100万1000円)
BIGオフのテネレ700にも使われるパラツインは、トラクションに優れる270度クランクで力強く使いやすい傑作エンジン!(青木さん)
前輪ブレーキのディスクを大径化し、灯火器類のLED化やメーターをネガポジ反転LCDにグレードアップするなど、2023年式でマイナーチェンジ。「ナナハンキラー」と呼ばれた初代RZサンパン(350)をモチーフとした白×青のカラーグラフィックで「青春よ、よみがえれ〜!」
Yamaha
「XSR125」(価格未定)
軽二輪枠で速道路も走行できるXSR125も国内デビューが決定。末弟も2本立てで、用途によって選べますよ!(青木さん)
公道向けはスクーターしかなかったヤマハのアンダー125ccクラスに、待望のスポーツモデルが戻ってくる。水冷単気筒SOHCエンジンは可変バルブ機構付きで、スムーズなパワーデリバリーを全域で実現。倒立フォークを備えるなど、前後17インチの足まわりも本格的なのが嬉しい。
■ヨンヒャクだから高速道路のクルージングも余裕!
Kawasaki
「ELIMINATOR」(75万9000円〜)
上級仕様の「SE」は車体前後にドラレコを標準装備! トラブル対策はもちろん、旅の思い出を記録できるから嬉しい!(青木さん)
735mmとシート高が低く、両足のカカトまでべったり地面に届く足つき性の良さがあり、気軽に乗れて安心感が高い。それでいて、エンジンは扱いやすいパラレルツインで、排気量はヨンヒャクあって充分。街乗りから遠出まで、普段着感覚で付き合える。
■漢カワサキと言われた時代へタイムスリップできる
Kawasaki
「Z900RS」(148万5000円〜)
70年代の名車Z1やZ2を思わせるスタイルはもちろん、カラー&グラフィックも再現しているからファン垂涎ものです!(青木さん)
ティアドロップタンクや砲弾型メーターなど、カワサキ Z1に通じる昔ながらのスタイルをそのままに、倒立フォークやモノショック、ラジアルマウントキャリパー、トラクションコントロールなど最新装備をふんだんに盛り込み、切れ味鋭い走りと高い安全性を実現している。
■ソロキャンなどでダートと出くわしても臆せず進め!
Honda
「CL250」(62万1500円)
マフラーがライダーの耳に近い位置にあるから、歯切れの良いシングルサウンドがよりダイレクトに聞こえ、アクセルを開けるのが楽しく快快です!(青木さん)
前後サスペンションのストローク量が長めで背が高く、アップマフラーやフォークブーツが備わっているのは、未舗装路も走ることを前提としていたから。ホンダCLの初代は、アスファルトが敷かれた道路がまだ少なかった1960年代に誕生したスクランブラー。現代のストリートへ解き放て!
■さらにレトロへ、もっとカスタムしやすく進化
BMW
「R 12 nineT」(価格未定)
詳細は今秋発表され、2024年モデルとして発売される見込み。スポークホイールの足まわりなど手が込んだ仕上がりです!(青木さん)
2014年にデビューしたR nineTがネオクラシックブームの火付け役だが、今年5月、創業100周年を期にドイツでその後継として発表されたのがR 12 nineT。伝統の空油冷ボクサーツインエンジンを継承しつつ排気量を拡大し、フレームやタンク、シートなど、全面的に刷新している。
■どれでも44万円!ホンダの“原2”復刻シリーズはいまだ大人気!
Honda
「Monkey125」(44万円)
人気の理由は「懐かしい」とライダーに返り咲くオトナたちの所有欲を満たすべく、上質感も兼ね備えるところにあります!!(青木さん)
Honda
「Dax125」(44万円)
Honda
「CT125 Hunter Cub」(44万円)
遊園地の乗り物アトラクションだったモンキーをはじめ、可愛くてコンパクトなレジャーバイクたちは昭和に生まれバイクファンを育てたが、車体をひと回り以上大きくし、排気量も125ccに拡大。令和によみがえると、乗り手の心や暮らしを豊かにしてくれると、大ヒット継続中!現代の交通事情に合わせ、性能アップも果たしている。
※2023年7月6日発売「GoodsPress」8-9月合併号92-95ページの記事をもとに構成しています
<文/青木タカオ>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/551640/
- Source:&GP
- Author:&GP
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