発売すれば即完売。初期Monkeyをモチーフにしたかわいい110ccバイク・Mini Qとは一体!?

ホンダのアイコニックシリーズとして依然大人気のMonkey125、CT125・ハンターカブ、Dax125といったモデルたち。いずれも60年代に考案された先代モデルをベースに、現代の機構をふんだんに取り入れ復刻されたバイクたちです。

このうち、特にMonkeyは、ホンダが火付け役となった70年代のレジャーバイクブームの象徴として広く知られていることから、ホンダは「後年売れなくなっても作り続けた」と言われる特別なモデルです。このMonkeyの礎となったのが、1963年に開発されたCZ100というモデルです。

▲Monkey CZ100(画像:ホンダ)

 

もともとは多摩テックや鈴鹿サーキットの遊戯バイクとして考案されたCZ100ですが、後に欧米に輸出され大ヒット。その愛くるしいルックスと伝説から今も多くのバイクファンを魅了し続けています。ただし、中古車市場での価格は高騰の一途を辿っていて、実車を目にする機会はかなり限られ、また実際に乗ったことがある人を探すだけでも難しいのが現状です。

そんな中、衝撃のバイクが登場しました。Mini Qという、明らかにCZ100をモチーフにした110ccのミニバイクです。

発売元は、長野県にあるミニバイクのカスタムパーツなどを扱うミニモトというメーカー。聞けば、2025年にMini Qを発売したところすぐに売り切れとなり、今も在庫を揃えても、即完売の状況の続いていると言います。

他方、ネットを深く検索しても、現状ではMini Qの細部や真価のほどがイマイチ掴めないのも正直なところ。そこで筆者は発売元のミニモトを訪ね、この知られざるかわいいミニバイク・Mini Qの細部に迫ることにしました。

■Monkeyをモチーフにしながらも、最新技術も適度に取り入れた「新しいバイク」

▲CZ100をモチーフに、程よく最新技術を取り入れているMini Q(マニュアルクラッチ仕様)

 

Mini Qのカラーリングは白・黒の2タイプがあり、さらに4速ギアの遠心クラッチ仕様、マニュアルクラッチ仕様の2モデルがあります。いずれも本家・ホンダのパーツはなく、全パーツとも製造元のオリジナル。それでもチェック柄のシート、リアにサスペンションを持たないリジット式など、往年のCZ100を彷彿とさせる構造です。

▲Mini Qのチェックシート

 

▲フロントにはカゴがあり、LED式のライト、ウインカーが

 

▲リアはサスペンションを持たないリジット式

 

▲フロントは乗りやすさを追求し、テレスコピック式の油圧サスペンションに

 

一方、安全性と乗りやすさを追求すべく、最新技術も柔軟に取り入れているのがMini Qの特長です。フロントをテレスコピック式の油圧サスペンションにし、電子式の燃料噴射を行うインジェクションを取り入れています。もちろん、随所に最新の電気系統を取り入れ、乗りやすく扱いやすくしているのが特徴で、古いホンダのレジャーバイクをよく知る筆者にとっては、CZ100がモチーフでありながらも「新しいバイク」のようにも感じました。同時に「マニアックすぎず、初めてバイクに乗る」人でも難なく乗れるはずだろう、という印象も抱きました。

▲レトロスタイルだけではなく、最新技術も柔軟に取り入れているのがMini Qの特長

 

▲電子式の燃料噴射を行うインジェクションを取り入れています

 

▲最新の電気系統を取り入れメーターはデジタルに

 

▲それでいてややこしい操縦性はありません。ハンドルのスイッチ周りは極めてシンプル

 

▲「初めてバイクに乗る」人でもすぐに乗りこなすことができそうです

 

スロットルを捻れば何故だか笑顔が浮かぶ、乗り味の楽しさ

言わば、往年のCZ100が持っていたシンプルでかわいいスタイルを存分に踏襲しながらも、さらに乗りやすくしたのがMiniQなのだろうと思いましたが、実際の乗り味はどんな感じでしょうか。実際にマニュアルクラッチ仕様にまたがり走ってみました。

▲さっそくMiniQにまたがり始動!

 

▲シート左下にあるエンジンキー

 

ギアへの入りは実に楽で、走り出しもスムーズ。見た目こそレトロでかわいいMiniQですが、ちゃんと「現代のバイク」としての機能性を持った1台でした。ライディングポジションは見た目通り低めなので、小柄な方でも乗りやすいのも良いところだと思いました。

また、リアがリジットなので路面から受ける衝撃は相応にあるものの、「速さを求める」バイクではないことを考えれば全く問題ありません。むしろ、現代のバイクでは珍しい「速さだけではない、バイク本来の楽しみ」を追求した1台で近所をトコトコ走ったり、クルマに積むなどしてレジャー先で遊びながら楽しむには最適な1台だと思いました。

それが正しければ、ホンダがMonkeyなどのレジャーバイクに投影したコンセプトをも踏襲していて、スロットルを捻るたびに何故だか笑顔が浮かんでくる、楽しい乗り味の1台だと感じました。

ほぼコンプ状態での価格は30万円強の破格値

 

▲MiniQ販売元・ミニモト代表の小平幸永さん

 

しかし、このMiniQ、どんな経緯で開発されたバイクなのでしょうか。販売元のミニモト・小平幸永さんに話を聞きました。

「弊社ではミニバイクのカスタムパーツ、アフターパーツなどを扱ってきましたが、これに合わせて中国からMonkeyをモチーフにしたキットバイクを販売しました。エンジンもパーツも中国製のモデルで、15万円ほどだったこともあり多くの注文をいただきました。

ただ、10〜20年前ほどの中国製エンジンはまだ過渡期で、相応のトラブルがあったのも正直なところです。『オイル漏れがする』『エンジンが点火しない』『ケッチンでギアが欠けた』とか。でも、その度に弊社から中国 側にもクレームを入れるなどし、性能面では随分と進化していきました。

そんな経緯がある中で、ある中国のメーカーがMiniQを開発し日本の輸入元を探していました。当初は『日本でウケるかどうかもわからないし、弊社の本来の事業は部品の製造・販売だから、アドバイスくらいの協力はするけれど……』という感じで伝えていたんです」(ミニモト・小平さん)

▲MiniQを開発した中国人のエンジニアチーム

 

しかし、そのやり取りの中で、2025年にMiniQをまずは30台輸入し販売することに。キットバイクではなくほぼコンプリート仕様で、定価は30万円強。このコストパフォーマンスの良さもあり、発売開始後すぐに完売に至ります。

「正直驚きました。日本のマーケットで、MiniQのようなバイクがすぐに完売するとは思っていなかったので。

その後、すぐに追加で2026年1月に追加販売したのですが、これも予約段階ですぐ完売。5月に、台数を増やして輸入しましたが、これも即完売。以降は8月、12月とさらに台数を増やして販売する予定ですが、おそらくこの勢いですと、さらに販売台数が増えるのではないかと思っています」(ミニモト・小平さん)

■気になる「中国製」の信頼度は…?

しかし、やっぱり気になるのが「中国製」というところ。前述の「かつての中国製エンジンには相応のトラブル」があったそうですが、MiniQのエンジンはどうなのでしょうか。

「エンジンは、YXというメーカーのものがベースで、MiniQ用に弊社でお願いした110ccのものを使っています。ひと昔の中国製エンジンとは異なり精度が高いもので、直近で販売した1000台ほどのYXエンジン、MiniQのエンジンとも一度もクレームがありません。

また、MiniQのフレームなどは、ホンダのCZ100のオリジナルよりは確かに重かったり分厚かったりするのですが、その分、堅牢性が高まっています。塗装も厚く、CZ100を所有する方からも『これは良い』と高評価をいただいていますよ」(ミニモト・小平さん)

▲MiniQのフレーム。本家・CZ100よりも堅牢性が高く、塗装も厚いそう

▲MiniQのシートとタンク。細部までミニモトスタッフが細かく検品し、ほぼコンプリートした状態で出荷しています

▲2色のうち、白のほうが人気が高いようですが、黒もなかなか渋めでカッコ良いです

▲「MiniQはレジャー感覚でゆったり楽しんで」と小平さん

 

不安が拭えたところでMiniQが欲しくなった筆者でしたが、同じように思われる方は多いかも知れません。最後に、MiniQをどんなふうに楽しむべきかアドバイスもいただきました。

「MiniQを乗られるのなら、やっぱりレジャー感覚で楽しんでほしいですよね。ゆったりトコトコ楽しめるのがMiniQの一番の魅力だと思います」(ミニモト・小平さん)

日本のバイク史を振り返ると、個性的な「バイク本来の楽しさ」を感じられるモデルが続々登場したのは、60年代から80年代前半まで。以降は高性能化か、コストパフォーマンスかを追求したモデルが多くなり、つまり「遊べるバイク」は数少な区なっていきました。

そんな中で登場し、たびたびの輸入で完売し続けるMiniQは、実はバイクファンの多くが待ち望んでいた「現代のレジャーバイク」のように思います。興味のある方はぜひミニモトの公式サイトなどをチェックし、問い合わせてみてください。

<取材・文/松田義人(deco)>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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