遊べるBEVがいっぱい!「ジャパンモビリティショー2023」で見つけた走る姿を見たい電動自動車14台

レクサス:2モデル
トヨタ:3モデル
ホンダ:2モデル
日産:1モデル
スズキ:0モデル
ダイハツ:0モデル
マツダ:0モデル
スバル:3モデル
三菱:1モデル

これは2022年11月1日から2023年10月31日までに発売された、日本カー・オブ・ザ・イヤー2023-2024の日本車のノミネート数です。今年は例年よりも日本車のニューモデルが少なく、クルマファンにとっては寂しい1年でした。

一方で2023年10月28日〜11月5日の日程で開催されている『ジャパンモビリティショー2023』の日本メーカーのブースを見ると、将来が楽しみになるものから市販化が近そうだと感じられるものまで、さまざまなコンセプトカーが公開されていました。

その中から、これが出てくると面白くなりそうだというものをピックアップ。未来予測とともに、どんなモデルかを紹介します。

 

1. レクサス「LF-ZC」/2026年に発売予定の次世代BEV

“クルマ屋ならではのBEV”を打ち出したレクサスは、BEVコンセプトカーを展示しました。そのひとつが2026年の市販化を目指して開発しているという次世代BEV「LF-ZC」です。

車体構造やコンポーネントを小型軽量化することでパッケージングの自由度を高めているのが特徴で、モーターなどが収まる前方のフードを短くしてキャビンを広く取っているのが一目でわかります。

ボディサイズは全長4750×全幅1880×全高1390mmで、ホイールベースは2890mm。エネルギー密度を高めたリチウムイオンバッテリーにより、航続距離は従来の約2倍となる1000km(目標値)とされました。

注目すべきはコックピット。空力を最優先し(Cd値0.2以下)、全高も1400mm以下に設定されていますが、前席の乗員を低く着座させることで室内空間に広がりが生まれ、フラットなフロアとパノラマルーフで頭上の開放感も実現。そして各種操作機能をステアリング両側に設置されたデジタルパッドに集約。最小限の動きでさまざまな操作が行えるようにしています。

現在のBEVはまだ従来の自動車の延長上にあるスタイルですが、バッテリー性能が上がるとともにADASの進化により、クルマが従来のものとは違う形になっていく。近い将来に発売される予定のクルマから、そんな未来を感じることができるモデルです。

 

2. レクサス「LF-ZL」/未来のビジョンを示唆したフラッグシップBEV

全長約5300×全幅約2020×全高約1700mm、ホイールベースは約3350mm。威風堂々としたスタイルで我々の前に登場した「LF-ZL」は、未来のビジョンを示唆するフラッグシップコンセプトモデルと謳われています。

3mオーバーのホイールベースで、ドライバーズシートはもちろんリアシートの快適性が高められているのは一目瞭然。レクサスも「BEVならではのパッケージングの自由度の高さや空間効率の良さを活かした広々とくつろげるインテリアに、従来のおもてなし装備をより先進的かつ心地よいものとすることで、これまでになかったモビリティ体験を提供」と発表しています。

クルマに搭載されるセンサー類と社会のデジタル情報が連携し、インタラクティブにクルマと人がつながるようになるなど、これまでとはまったく違う体験ができるようになるはずです。

 

3. トヨタ「IMV 0」/自分好みの1台をトヨタと一緒に完成させよう!

トヨタが公開したピックアップタイプのコンセプトモデルが「IMV 0(アイエムブイ ゼロ)」。荷台部分はシャシーがむき出しの状態になっています。これは最後にキャビンの後ろをオーナー好みに作り上げられるようにしたもので、キッチンカー、搬入車などさまざまな形に架装したスタイルが提案されました。

&GP読者なら、まっさきにこれをキャンピング仕様にすることを思い浮かべたはず! たとえるならキャブコンのベース車であるカムロード的なものですが、カムロードだとトラック的なルックスになるのに対し、こちらはスタイルにこだわったキャンピングカーが作れそうです。

IMVはInnovative International Multi-purpose Vehicleの略で、需要のある地域で生産することで、グローバルで効率的な生産・供給体制を構築するというプロジェクト。「IMV 0」はその原点に立ち返ったモデルで、まずは新興国での販売に向け着々と準備が進められています。

 

4. トヨタ「FT-Se」/カーボンニュートラル時代のスポーツカーの形

クルマの電動化が進む中で、走り好きの人たちからは「クルマが楽しくなくなる」という嘆きが聞こえてくることもあります。トヨタはその声に応える形で、高性能スポーツBEVモデルを披露しました。

ワイド&ローなスタイルは見ているだけで走りの良さをイメージさせます。同時に公開されたSUVタイプの「FT-3e」と主要コンポーネンツは共有していますが、操縦安定性を高めることで高次元での走る楽しさを提供するモデルとなっています。コックピットには走行時のGから身体を保持するためのニーパッドが装着されるなど、BEVならではの本気の走りが体感できるモデルであることを予感させます。

 

5. トヨタ車体「X-VAN GEAR CONCEPT」/ミニバンの利便性とSUVのアクティブさを融合

ハイエースやランドクルーザー、アルファードなどを生産しているトヨタ車体が公開したコンセプトモデルは、アクティブな雰囲気が漂うキャブワゴン。ミニバン並の大空間にSUVのアクティブなイメージを融合した、遊びに使えるバンになります。

ボディサイズは全長4695×全幅1820×全高1855mmと扱いやすいサイズで、乗車人数は6人乗り。走行性能は現段階では公表されていませんが、このカテゴリーは三菱 デリカD:5の独壇場なので、SUV並の走破性が与えられたら、強力なライバルになるのは間違いありません。

 

6. ホンダ「プレリュードコンセプト」/あの名車の名前が22年ぶりに復活!

2022年4月にモビリティの電動化を宣言した際、ホンダは「カーボンニュートラルや電動化に挑む中でも、常にFUNもお客様に届けていきたいという想いから、操る喜びを電動化時代にも継承し、Honda不変のスポーツマインドや、際立つ個性を体現するようなスペシャリティとフラッグシップ、2つのスポーツモデルを、グローバルへ投入していきます」と予告しました。その1つが、今回ワールドプレミアされたプレリュード コンセプトでした。

プレリュードといえば、1978年に初代が登場し、1982年デビューの2代目、1987年デビューの3代目は“デートカー”として一世を風靡しました。

そんな名車が復活することに、SNSなどでは賛否両論沸き起こっていますが、BEVでスペシャリティモデルを投入することは素直に歓迎したいと思います。展示されたモデルを見る限り、市販化もそう遠くないはず。ファンは楽しみに待っていましょう。

 

7. ホンダ「Cruise Origin」/ドライバー不在の自動運転タクシーを公開

GM クルーズホールディングスLLC、ゼネラルモーターズ、本田技研工業の3社は、日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始するためのサービス提供を担う合弁会社設立に向けた基本合意書を締結したことを発表しました。「Cruise Origin」は、そのサービスでの使用を想定した自動運転タクシーです。

車内に運転席はなく、広い空間がプライベートスペースになり、最大6人で乗車することが可能。まずは東京都心部で数十台からサービスを開始し、500台規模へと拡大。その後、サービス提供エリアを拡大していく予定とのこと。数年後に無人タクシーが街を走るなんて、にわかには信じられない未来です。

 

8. 日産「Hyper Force」/丸目4灯のテールライトがつけられたということは…?

日産は将来のクルマの姿を予感させる5種類のコンセプトカーを発表し、そのうち3種類を公開しました(2モデルはデジタル展示)。その中でも注目を集めたのが、ステージセンターに展示された「ハイパーフォース」です。

往年のシルエットフォーミュラのマシンを彷彿させるスタイルは、強力なダウンフォースを生み出すためにNISMOレーシングチームと共同開発。全固体電池と高出力モーターを組み合わせたパワートレインは最高出力1000kWを発生すると言います。

ボディは高強度カーボンを活用して軽量化。「サーキットからワインディングまで、優れたコーナリング性能と操作性を実現します」としています。

何より気になるのはリアスタイル。丸目4灯のテールライトがついていることは…否が応にもGT-Rと結びつけてしまいます。

もちろん現在はあくまでコンセプトカーで、このモデルが今後どのように市販モデルへと進化していくかはまったくわかりません。でもさまざまなことを期待してしまいますね。

 

9. スズキ「eWX」/ボックススタイルで便利に使える軽BEV

軽自動車初のBEVである日産「サクラ」がバカ売れしているのを見て、王者がだまっているわけがありません。スズキはワゴンタイプの軽BEVのコンセプトモデルをワールドプレミアしました。

多くの人が日常の足として使う軽ワゴンだからこそ、BEVになってもこれまでと変わらずに使えることが大切。そこでスズキは実用性にこだわったBEVづくりを目指しました。Aピラーを立てたボックススタイルにより、広い室内と積載性を確保していることが伝わります。インテリアはフローティングデザインで、ワクワク感を演出しています。

前後のデザインこそコンセプトモデルらしい雰囲気になっていますが、パネルなどは市販モデルにかなり近い形で設計されているところを見ると、そう遠くない未来に市販モデルが登場するかもしれませんね。

 

10. スズキ「MOQBA」/平地も階段も移動できる次世代モビリティ

4本脚にタイヤがついた不思議な乗り物は、多くの人に移動の可能性を提案するスズキのコンセプトモデル。人が乗って平地をタイヤで走る「MOQBA」は、段差や階段では脚を使って上っていくことができます。

しかも人が乗るだけでなくアタッチメントを変えることで、寝たきりの人でも移動できるようになったり、さまざまな荷物を運んだりもできるようになります。多くの可能性を秘めた「MOQBA」のようなモビリティは、今後注目度が高まっていくはずです。

 

11. ダイハツ「ユニフォームトラック」/働く人の使いやすさに寄り添うBEV軽トラ

“クルマと人の関係の再定義”をテーマに、さまざまなコンセプトカーを展示したダイハツ。その中でも注目は、軽トラックの「ユニフォームトラック」。いわゆる軽トラスタイルはもちろん、写真のように『Nibako』を載せることで使い方の可能性が広がるのがおもしろいところ。『Nibako』は上に大きく開けるため、移動店舗としても使えます。

大容量バッテリーを搭載するBEVならではの外部給電機能も取り入れられているので、移動店舗として使う場合も電気を使ってさまざまなことができます。荷台はフラットで清掃しやすくなっているのもポイントです。

 

12. マツダ「ICONIC SP」/マツダらしい美しさを表現したコンパクトスポーツ

今回のジャパンモビリティショーでもっとも注目を集めたモデルのひとつが、マツダがワールドプレミアした「ICONIC SP」でした。

ボディサイズは全長4180×全幅1850×全高1150mm。ホイールベースは2590mm。コンパクトなボディのスポーツカーは、人馬一体になって走る楽しさを予感させてくれます。

搭載されるパワートレインはコンパクトでレイアウトの自由度が高い2ローターRotary-EVシステムで、車体中央にシステムを寄せることでボンネットが低いスポーツカーならではの美しさを実現しています。ヘッドライトはこれまで見たことがないリトラクタブル構造になっています。

ボディカラーは「赤を大切にしたい」というマツダの想いをもとに開発された“ヴィオラレッド”。光の当たり方により陰影が強調され、「ICONIC SP」のグラマラスさを際立たせています。

 

13. スバル「スポーツモビリティコンセプト」/スポーツモデルとエアモビリティのコンセプトモデルを展示

スバルが展示したのは、マッシブな雰囲気のBEV「スポーツモビリティコンセプト」。このスタイルは四輪を意のままにコントロールするイメージを基本骨格にし、シートポジションを低くしながらも、視界の良さと見切りがしっかり確保されています。

そしてスポーツモビリティコンセプトの後ろに写っているのは、スバルが目指す“より自由な移動”の未来を形にした「エアモビリティコンセプト」です。空の移動革命を実現するためにスバルの航空宇宙と自動車のエンジニアが協力して飛行実証を進めているとのこと。いつか私たちも空を飛んで移動できる日がくるかもしれないと思うとワクワクしますね。

 

14. 三菱「D:Xコンセプト」/次期デリカを予見させるSUVミニバン

現行型「デリカD:5」がデビューしたのは2007年。もう15年以上現役モデルとして販売されているので「そろそろモデルチェンジもあるのでは?」と思っている人も多いはず。三菱のブースでは、「これってデリカじゃん!」と感じさせるコンセプトカーがワールドプレミアされました。

シルエットはかつての「デリカスターワゴン」のような、ボックススタイル。そして“絶対安全大空間×絶対走破性”をコンセプトにしたプロテクティブボディを採用しました。これなら、どんな場所でも行けるに違いないということを想起させてくれます。

パワートレインは三菱が得意とするPHEVシステムを搭載。普段はほぼすべてをEVとして走行し、ロングドライブ時はハイブリッドモデルとして航続距離を確保します。

もちろん走る・曲がる・止まるを統合制御する「S-AWC」も搭載されているので、ラフな場所でも気兼ねなく走ることが可能。冒険心を掻き立ててくれる三菱らしさに溢れたモデルに仕上がっています。

現在はまだコンセプトカーのスタイルですが、市販化が待たれる一台ですね。

>> ジャパンモビリティショー

<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

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