自分の人生を振り返って名刺の肩書きを考えたときに、「愛犬家だな」と思ったという河合誠さん。河合さんの考える愛犬家とは、ただ犬を溺愛する人のことではない。常に犬を観察し、疑問を持ち、考える。そんなスタンスは、子どもたちにも確実に影響を与えている。

【DOG LOVER】
河合 誠さん
グラン(メス・ 5歳/ジャーマン・シェパード・ドッグ)
ポーキー(オス・7カ月/ノーフォーク・テリア)
■犬を通して、子どもたちにも答えではなく考えるきっかけを与えられたら
“愛犬家”と聞くと、どんな人をイメージするだろうか。犬の病気や食事などに詳しい人、しつけをしっかりしている人、犬をどこにでも連れて行く人――そのイメージは人によってさまざまだろう。河合誠さんにとっての“愛犬家”とは、常に犬と暮らすことについて考え続ける人。
「犬をよく観察して、何考えてるんだろうなって想像して、対応を試して、やっぱり違うな、とか。犬との関係性ってクイズみたいなものだと思うんですよ。結果、自分のことじゃないから答えはわからない。だからこそ考え続けるっていう」
岡山県吉備中央町にある山の分校跡地を拠点に、ものづくりをしながら暮らしている河合さん家族。誠さんは幼稚園児のころ、兄のお下がりばかりなのが悲しくてしくしく泣いていた。「何が欲しいの?」と親に聞かれて「子犬」と答えたところ、やってきたのが柴のタロウ。下校すると犬小屋に一緒に入り込んだり、木に登らせようとしたり、親友のように過ごした。大人になってからは、中・大型犬5頭を迎えて看取り、今はジャーマン・シェパード・ドッグのグランと、ノーフォーク・テリアのポーキーと暮らす。
▲左:寛容な性格だったゴールデン・レトリーバーの フーバー、右:ブリタニー・スパニエルのピナ。性格は真逆でも大の仲良しだった2頭
▲先住犬2頭が立て続けに亡くなり、その後に迎えたグランとポーキー。河合さんに、新たな犬との付き合い方を教えてくれている
娘である10歳のはなちゃんと9歳ののちゃんは生まれたときから常に犬と一緒だ。ただ、犬を迎えることは大人である誠さん、芳美さん夫妻の選択。「子どものために犬を飼う」という発想はない。
「この前、子どもたちに話したんです。『あなたたちは僕の人生のおまけだし、逆に言うと、あなたたちの人生のおまけがパパ。だから、自分の人生を好きに生きるように』って。子どもとはいえ他者なので、どこかで線を引いて付き合っています。それは犬も同じで、どこかで獣だと思っているから、あまり擬人化せず、犬は犬として付き合っていますね」
とはいえ、犬の訓練所には娘たちも連れて行くし、姉妹はグランと訓練競技会に出たこともある。昔ながらの訓練法と最新のトレーニング法、真逆の考え方をする訓練士のところにも両方連れて行く。そこから誠さんも娘たちもいろいろ考え、感じる。犬との暮らしが子どもに与える影響として、誠さんが期待することがあるとしたら、答えを教えるのではなく、考えるネタを与えること。
▲姉妹は、犬に対する姿勢も違う。ののちゃんは小型犬が好き。ポーキーは河合家初の小型犬で、子どもたちの近くにいることが多い
▲中・大型犬が好きなはなちゃんとグラン
「犬との共生って、家畜や使役犬としてだったらイメージできると思うんですけど。現代のコンパニオンアニマルという意味では、ちょっと人間側に寄せすぎだと感じていて、犬も人間に合わせるのが大変だろうなと思います。僕自身は、犬のゴハンや病気のことは専門家に頼ればいいし、全部ほどほどでいい。今の我が家の生活環境だと、訓練もそこまで必要ない。もう少し肩の力を抜いて、もっともリスクが少なくて、長く楽しく続けられる犬との暮らしを提案してくれる人が増えたらいいな、と思います」
誠さんとの会話は哲学対話のようだ。問いがあり、それぞれの異なる考えがあって、そこからどれも否定することなく掘り下げていく。しかし、正解はない。これこそが“他者と違うまま、ともにいること”=“共生”に必要な根本姿勢なのでは、と気づかされる。
「訓練士が『犬はかまいすぎもよくない』って言うじゃないですか。だったら犬と暮
らさなければいいのになって考えてみたり。なんで一緒に暮らすんでしょうね?」
▲成犬時に迎えたグランを、最初は少し怖がっていたののちゃんも、今ではすっかり打ち解けた
▲「子どもたちがブラッシングをしている写真がたくさんある」と河合さん。世話は大人が全部するのではなく、子どもたちにも役割を担わせる
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<文=山賀沙耶>
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- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web
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